値上げ浸透で最高益 2023年度は実りの年に

クボタは2年ぶりの最高益が見込まれています。

2021年度はコロナ禍の影響を受けつつも需要は底堅く、売上高が初の2兆円を突破し最高益となりました。しかし翌期は原材料価格や物流費の増加に悩まされます。値上げでは吸収できず営業減益となり、最終利益も減少しました。

2023年度もコストの増加傾向は続いています。しかし増加幅には落ち着きが見られます。値上げによる増益がコスト増加分を上回り、第3四半期までに前年同期比789億円の増益となっています。

【営業利益の増減要因(前年同期比)】

  2022年度 2023年度
第3四半期
 為替変動 +640億円 +550億円
 為替差損益 +48億円 -179億円
 原材料 -894億円 -161億円
 インセンティブ率変動  -261億円 -199億円
 増減販 +154億円 +112億円
 製品値上げ  +1108億円  +1097億円
 その他 -1051億円 -431億円
 合計 -256億円 +789億円
(参考)営業利益 2189億円 2589億円

※その他は物流費、研究費、減価償却費など
※2023年度の通期の営業利益は2950億円(第3四半期時点の予想)

出所:クボタ 決算説明会資料

好調な海外も利益を押し上げました。北米と欧州で農業機械や建設機械が伸びたほか、インドでは畑作向けが堅調でした。

【地域別、機械の売上高の前年同期比(2023年度第3四半期)】

出所:クボタ 決算説明会資料より著者作成

なお、クボタは建設機械について欧州では減速感が見られるほか、北米でも市場の伸びはひと段落したと分析しています。

クボタの海外売上高比率は77.5%に上ります(2022年12月期)。翌期も業績を伸ばせるかどうかは、引き続き海外も重要なカギとなりそうです。