クボタの業績が回復しています。2022年度は最終減益となりましたが、2023年度は最高益を予想しています。株価は上場来高値(2733円、2021年5月)から押される展開が続いており、当面は2024年度の業績予想が注目を集めそうです。
【クボタの業績】
売上高 | 純利益 | |
2021年12月期 | 2兆1968億円 | 1748億円 |
2022年12月期 | 2兆6788億円 | 1562億円 |
2023年12月期(予想) | 2兆9500億円 | 2050億円 |
※2023年3月期(予想)は同第3四半期時点における同社の予想
出所:クボタ 決算短信
クボタは2023年7月、市場評価性(PBR基準)から「JPXプライム150指数」に選出されました。これは純資産総額に照らし投資家の人気が高いことを表しています。
クボタとはどのような企業なのでしょうか。概要と業績を押さえましょう。また祖業でもあるクボタの水ビジネスについても紹介します。
農機世界3位 インドで進出強める
クボタはトラクタやコンバインといった農業機械の大手です。また油圧ショベルなどの建設機械のほか、産業用や発電機用のエンジンも手掛けています。
クボタの農業機械のシェアは世界3位で、特にアジア向けの販売が多い特徴があります。農業機械の市場規模はトラクタが過半を占めており、トラクタはインドや中国といったアジアで多く販売されています。市場規模の大きいアジアで基盤を持つことはクボタの強みの一つです。
【農業機械メーカーの売上高と地域構成比(2021年度)】
売上高 | アジア | 欧州 | 北米・南米 | |
ディア | 3兆2000億円 | 11% | 22% | 68% |
CNH | 1兆7000億円 | ― | 32% | 51% |
クボタ | 1兆4744億円 | 46% | 13% | 37% |
※農業機械部門の売上高
※ディアは米ディア・アンド・カンパニー、CNHは英CNHインダストリアル
出所:農林水産省 食料安全保障月報(2022年11月) 我が国と世界の農業機械をめぐる動向
【農業機械の市場規模】
なお、農業機械以外も含めた地域別の売上高では北米が最大です。
【地域別の売上高(2022年度)】
・日本:6024億円
・北米:1兆1020億円
・欧州:3380億円
・アジア(日本除く):5330億円
出所:クボタ 決算短信
クボタはインドへの進出を強めています。2008年に現地法人を設立し、以降は東南アジアで製造したトラクタの輸入販売を手掛けていました。2018年にはインドのトラクタメーカーであるエスコーツ(現・エスコーツクボタ)と提携し、現地での生産を始めます。クボタは2020年にエスコーツへ出資し、2022年の追加出資を経て子会社化しました。
インドは2023年に人口世界一になったと推定されています。GDPは日本に次いで世界5位にあり、その主要産業は農業です。農機を手掛けるクボタにとって、インドは成長が見込める重要な地域といえるでしょう。
【名目GDPランキング上位5か国(2024年推計)】
・アメリカ:27兆9666億ドル
・中国:18兆5600億ドル
・ドイツ:4兆7009億ドル
・日本:4兆2862億ドル
・インド:4兆1054億ドル