揺らぐ株価 評価に悩む投資家たち
NTTリミテッドの承継でNTTデータグループはさらなる成長が期待されます。
しかし投資家の評価は複雑です。それまで順調に値上がりしていたNTTデータグループ株式は、統合の発表後は調整が続いています。
【NTTデータグループの株価(月足終値、2018年12月~2023年12月)】
なぜNTTデータグループ株式は停滞しているのでしょうか。
理由の一つと考えられるのが財務の悪化です。NTTデータグループはNTTリミテッド連結に伴い負債が大きく増加しています。
NTTリミテッドが手掛けるデータセンター事業は構造的に大規模な先行投資が必要となる業態です。投資資金を工面するため有利子負債が増えやすい特性があります。
NTTリミテッド連結でNTTデータグループの負債は大きく増加しました。株主資本比率は前期比で17%ポイント以上悪化しています。
【負債と株主資本比率の推移(2019年3月期~2023年3月期)】
負債の増加は損益にも影響しています。支払利息の増加から金融費用が増加し、純利益を圧迫しています。
【金融収支の推移(2019年3月期~2024年3月期第2四半期)】
NTTデータグループはデータセンター事業の拡大を予想しており、今後も積極的な投資を計画しています。2027年度までの投資額は1.5兆円を見込んでいます。投資が続くことから財務の劇的な改善は見込みづらい状況です。
当面は固定金利の借り換えや円活用の借り換えを用い、支払利息の抑制を目指すとしています。また中長期的には利益創出力の向上と回収機関の短縮を目指し、財務の健全性を保つ計画です。成果が見えれば株価は上向くかもしれません。