商品先物型ETF・ETNが長期保有に向かない理由

ETFやETNのうち、一般に長期保有に向かないといわれているのが先物に投資するものです。ロールオーバーを繰り返すことで継続的に価値が減少する傾向にあります。

先物は将来の特定の時期に清算されます。この時期を限月(げんげつ)と呼びます。先物は原資産が同じでも限月ごとに取引価格が異なります。例えばWTI原油先物の場合、2024年1月物は71.23ドルですが、2024年2月物は71.44ドルと0.3%高く取引されています(2023年12月8日終値)。

上記のように限月が遠くなるほど価格が高い状態をコンタンゴと呼びます。反対に限月が近いほど価格が安い状態をバックワーデーションと呼びます。

原油や金といった商品の先物はコンタンゴになることが一般的です。期間が長くなるほどかさむ商品の保有コストが上乗せされること、限月が遠くなるほど不確実性が増すためリスクに見合った価格を求めることなどが原因だといわれています。

このコンタンゴが先物型ETF・ETNの価値を減少させる原因です。

限月を迎えた先物は消滅します。したがって先物型のETFやETNは同じ銘柄で運用を続けることができません。運用を継続するには、限月が先の銘柄に乗り換える必要があります。これをロールオーバーといいます。

コンタンゴの場合、ロールオーバーでは安い期近物を売り高い期先物を買うことになります。安く売って高く買う取引を繰り返すため、中長期では価値が減少しやすいのです。

商品先物型ETF・ETNは短期的な保有にとどめておく方が無難といえます。長期保有は現物に投資する銘柄をおすすめします。