来年2024年の1月からNISA制度が大きく変わります。投資に興味はあったけどきっかけがなかった人、ニュースや雑誌で取り上げられるのを見て興味が湧いてきた人など、これまで投資をしてこなかった人たちが、新しいNISAをきっかけに、投資を始めることが予想されています。また、国は2024年中に官民一体で金融教育を推進していくために「金融経済教育推進機構」を設立、8月に本格稼働していく予定としています。

そんな流れの中、NISAや投資を始めるには「全然わからないけど、とりあえず始めてみる?」それとも「きちんと金融や投資の知識を学んでからでないとダメ?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。NISAや投資の基本については、たくさんの記事がありますので他の方にお譲りして、この疑問について、10年以上にわたりメガバンクで資産形成のお手伝いを担当し、今は金融教育に携わり教材づくりや全国の学校・社会人向けセミナーなどで講師を行っている私の視点から考えてみたいと思います。

NISAは魔法の制度か。必ず増えるのか

『この100万円を今から全額NISAで運用したら、1年後の長女の大学受験の時に少なくとも150万円まで増やせますかね? できれば200万円』。

メガバンクで資産運用を担当していたある夏、店頭に来店した40代のご夫婦にこう聞かれた私は衝撃を受けました。窓口担当の後輩が『NISAをやりたいと言っている人がいます! なんの商品が良いか相談したいそうです』と言いに来たので、これは新規顧客がゲットできるな、などとうっかり邪な考えを持ちながらカウンターに向かい話を聞いてみた時のことです。

よくよく聞いてみると、子どもが3人いて、それぞれに学費として貯金をしているそうです。高2の長女用の口座には100万円貯まったものの、そこから塾代も出すことになるし、来年の受験費用や大学入学資金も考えると足りそうにない、ということ。だから投資して増やしたい、NISAという制度があるらしい、全額つぎ込もうか、何も知らないけど良いらしいから、とにかくやってみよう、と。

結論として、私はこの話をお断りしました。『NISAだからといって、投資である以上、絶対に増えるというわけではありません。むしろ1年くらいの期間しかないことを考えると元本割れする可能性が高いです。今必要なことは、収支を見直すこと、引き続き頑張って今より少しでも多めに貯めて学費を用意すること、ここまで貯めた資金を少しでも確実に増やすことを考えるなら、当行ではなくネット銀行の高い金利の定期預金で回した方が良いです』と。ちなみに、下のお子さん2人はまだ年齢が低く大学受験まで10年以上の時間があったので、学費用の預金積立額の一部を積立投資に回し、今後の資金を用意していくことにしました。