2023年通期の利益予想を上方修正

7月25日、ゼネラル・エレクトリックは2023年通期の調整後1株当たり利益予想を従来予想の1.70~2.00ドルから2.10~2.30ドルに引き上げました。これは、ジェットエンジンの予備部品や航空会社のサービスに対する旺盛な需要により、第2四半期の利益が市場予想を上回ったことによるものです。

航空業界はパンデミックから予想以上に早く回復し、エンジンメーカーの収益を押し上げました。航空機不足により航空会社は古いジェット機を長く使用せざるを得なくなり、アフターサービス需要も好調です。                                        

ゼネラル・エレクトリックの航空宇宙部門は、受注、売り上げ、営業利益が前年比2桁増加しました。ゼネラル・エレクトリックは今後も航空宇宙事業に注力し、収益拡大を目指しています。

また、ゼネラル・エレクトリックは、2024年初頭に発電事業と再生可能エネルギー事業を分社化することを発表しました。この2つの事業は、GEの総売上高の約46%を占めています。

2023年にヘルスケア事業を分社化しており、今後は航空宇宙事業のみに専念していく予定です。航空宇宙事業は、世界的な航空需要の回復に伴い、好調な業績を上げています。

事業の選択と集中で株価はどうなる?

ゼネラル・エレクトリックの株価は、過去に暴騰し、2000年9月には史上最高値の360.13ドルを記録しました。しかし、近年は低迷しており、最近の高値水準でも、株価はそのピーク時に比べ約70%も安くなっています。

ただ、ゼネラル・エレクトリックの株価は、2018年10月以来5年ぶりの高値まで上昇しています。これは、投資家がGEの航空宇宙事業の将来に注目しているためです。

2018年以降、ゼネラル・エレクトリックは電球や機関車を製造するほとんどの部門、石油・ガス事業、そして、かつて大手銀行と肩を並べ、同社を経営難に陥れたGEキャピタルを売却しています。また、早ければ2024年初めには、電力事業と再生可能エネルギー事業をGEベルノバとして分離する予定です。

ゼネラル・エレクトリックの航空宇宙事業とGEベルノバは、それぞれ現在のGEの売上高における約半分を占めています。そのため、これらの事業の業績がゼネラル・エレクトリックの業績に大きく影響すると考えられます。

ゼネラル・エレクトリックの株価は今後も上昇する可能性がありますが、リスクを十分に理解したうえで投資を行うことが重要です。

執筆/山下耕太郎(フィナシー/Ma-Do 投資信託研究会)