定年まで約10年――いよいよ“リタイア”も見えてきたけれど、この先の仕事、お金の準備は十分だろうか? そんな不安を抱える50代は少なくないようです。
話題の書籍『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』では、そんな不安に寄り添うべく、米国公認会計士の午堂登紀雄氏が、今こそ知っておくべき“人生後半をごきげんに過ごすお金との関わり方”について分かりやすく解説しています。今回は本書第1章『人生100年時代に備えよう』、第4章『投資と上手につき合って「壁」を越える』の一部を特別に公開します。(全3回)
●第1回:定年後も稼げる人・稼げない人―違いを生む“キャリアの積み重ね方”とは
※本稿は、午堂登紀雄著『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
大人のそろばんをはじく
「数学」と言うと拒否反応を示す人もいるかもしれませんが、大人の数学は、方程式を解いたりするようなものではありません。むしろ、世の中にあふれる数字のウソを見破り、不利な選択を避け、より有利な選択をするために必要なスキルです。
たとえば凡人は、どこの宝くじ売り場で買えば当たるのか? という情報を集め、特定の売り場で行列に並び、お金と時間を浪費します。しかし実際には、確率は一定なので、どこで買っても同じです。当たりが多い売り場は、それ以上にハズレが多いというだけなのです。
「リボ払いは毎月一定額の引き落としなので、負担になりません」という広告を見て喜ぶ人がいます。しかしカード会社にとっては、そういうお金に関するインテリジェンスがない客は、暴利を貪れるおいしいカモです。
「複利効果は効果絶大」という言葉を聞いたことがあると思います。この場合、複利の効果で収入が増えるのは金融機関であり、契約者は年15%の金利がつくこともわからず、逆複利効果が働き、ますます貧乏になってしまいます。
リボ払いで買い物を続けると、払っているのは利息ばかりで借金はまるで減らず半永久的に返済が続くという無間地獄に陥るリスクがあります。
あるいは、子どもの将来を考えて何を選ぶべきか? と考えたとき、多くの親は受験することを選びます。しかし本来は、子どもが夢中になれるものを探してあげることが大切です。
なぜなら、集中して取り組み、上達した経験があれば、ものごとを習得する勘所がつかめているため、大人になってからも仕事などで応用が利くからです。仕事ができる人の過去の話を聞いてみると、何かの分野で全国大会に出るなどの経験を持つ人が意外に多いのは、そのあたりにも理由があります。
そして、学校や塾で教わることは、学業という限られた側面にしかすぎないことを理解し、学校で教わらないこと、学校の先生が不得意なことを習わせたいものです。
たとえば、大学を卒業して自営業として働き、確定申告をしていない人もいます。確信犯の人もいますが、多くは「知らない」からです。本来は払いすぎた税金の還付を受けられるはずが、知らないばかりに取られ損になってしまうこともあります。