計画的な資産形成には、経済分野へのアンテナ感度を高めることが不可欠。しかし、豊富なデータの中から自分が知りたい内容のものを選び数値変化を把握するには、正しい知識と情報の読み解き方を身につける必要があります。もちろん、その背景にある歴史的な出来事への深い理解も外せません。
話題の書籍『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』では、著者で弁護士の明石順平氏が賃金や物価など、日常生活にまつわる数値データから読み解ける客観的事実について優しく解説。今回は本書の第1章「僕の給料は、この国の経済を映している」の一部を特別に公開します。(全4回)
●第2回:山一証券、長銀etc.金融機関が破綻する事態に…バブルはいかにして崩壊したのか
※本稿は、明石順平著『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』(大和書房)の一部を再編集したものです。
金融危機とともに経済停滞へ
――ここで、1990年から2003年の間に破綻した銀行数の推移を見てみよう。
太郎:1998年と1999年は2年連続で5行も破綻したのか。そして1990~2003年の間に合計で20行も破綻したんだね。
――これだけ潰れると、銀行がお金を貸し出す力は当然落ちる。国内銀行貸出金残高の推移を見てみよう。
太郎:バブル期の貸出金残高の伸びがすごいね。1985年は209兆円だったのに、1991年には436.7兆円まで伸びている。バブルの間に倍以上になったんだね。
そこからしばらく横ばいになって、1997年の475.7兆円がピーク。翌年の1998年から下落に転じているね。
――この推移は名目GDPの傾向と一致している。名目GDPの推移を見てみよう。
太郎:本当だ。貸出金残高がピークを迎えた1997年に、名目GDPも543.5兆円でいったんピークを迎え、そこから下がってるね。ずーっと停滞を続けて、1997年をやっと超えたのが2016年の544.4兆円か。ピークを更新するのに19年もかかったんだね。