女性のおひとりさまに必要な老後の資金、最低2000万円

生命保険文化センター※1によれば、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均22.1万円となっています。ゆとりある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額は平均14.0万円となっています。その結果、「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」を合計した「ゆとりある老後生活費」は平均で36.1万円であることが指摘されています。ゆとりのための上乗せ額の使途は、「旅行やレジャー」が最も高く、「趣味や教養」「日常生活費の充実」と続いています。誰もが、老後は、友人や家族と旅行を楽しんだり、趣味やお稽古事を楽しみたいのではないでしょうか。

※1 公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(令和元年度)

男性の平均寿命は81.47年、女性の平均寿命は87.57年ですので※2、例えば、65歳で退職をした場合に、ゆとりある生活費のために必要な費用総額の概算を、参考までに次項で試算をしています。あくまでも試算ですので、個々人の状況や経済環境等によって、変動は発生します。

※2 厚生労働省「令和3 年簡易生命表の概況」

総務省※3によれば、65歳以上の夫婦2人が実際に支出している費用は22万4390円、単身世帯は13万3146円ですので、おおよそ単身世帯となると70%程度となります。未婚等で一人暮らしの女性の場合は、周囲からの支援が少ない可能性も想定し、夫婦で必要な金額の80%と設定して試算しています。これらの金額から、年金で給付される総額を引くと、年金以外に準備が必要な金額の目安を出すことができます。

※3 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)令和2年(2020年)」

厚生労働省※4によれば、厚生年金保険(第1号)老齢年金受給権者の平均年金月額は、男性17万391円、女性10万9205円ですので、それを概算値(男性17万円、女性10万円)として活用すると、必要な貯金の金額の目安も計算できます(ただし、年金月額は人によって異なりますのでご注意下さい)。

※4 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

ゆとりある老後の生活費をベースとするか、最低日常生活費をベースとするかでも必要な金額は変わりますが、次項のように計算をしてみると、最低日常生活費で生活をしていた女性のおひとりさまが88歳まで生きた場合は、生活費だけで老後の資金が最低約2000万円は必要になると試算されます。

しかし、実際は、ご自身の日常生活費などを参考にしながら、試算されるとより実態が把握できるかと思います。このほか、65〜89歳までの医療費の自己負担額(概算で約200万円※5程度)と、さらに介護に関する費用を見込んでおく必要があります。女性も正規雇用で定年までバリバリと働き、稼いでいる女性であれば、年金の額も増えますし、再就職等で少しでも収入があれば、月々、貯金から持ち出す金額も減ります。日々の生活設計の見直しや再就職活動、病気にかからないよう健康的な生活の維持・向上を目指し、計画を立てておくことが大切だといえます。

※5 平成29年版 厚生労働白書