後発中国メーカーが時価総額で本家超え

ルンバの躍進を見て日本のメーカーもロボット掃除機を投入していますが、うまくシェアを奪うことができていません。出遅れる日本勢に代わり、最近は中国勢がアイロボットを猛追しています。特にエコバックス・ロボティクスが販売する「ディーボット」は、家電売り場でも見かける機会が増えてきました。

エコバックスが最初のロボット掃除機をリリースしたのは2007年です。アイロボットが2002年ですから、ロボット掃除機メーカーとしてはエコバックスの方が遅いスタートとなりました。しかし同社の成長は目覚ましく、2022年1月~8月に日本における累計販売金額が前年比+169%と大きく増進しており、アイロボットから着実にシェアを奪っている様子がうかがえます。

また掃除機と床拭きの両方ができるモデルにおいては、エコバックスの方がアイロボットよりも早く日本市場に投入しました。エコバックスは「ディーボットオズモ610」を2018年4月から日本で販売していますが、アイロボットの「ルンバコンボ j7+」がリリースされたのは2022年11月のことです。エコバックスは、アイロボットと競合しない掃除機と床拭き兼用モデルをいち早く投入したことでシェアを伸ばしたのかもしれません。

なお株式市場においては、既にエコバックスがアイロボットより大きな存在となっています。エコバックスは2018年5月に上海証券取引所に上場し、現在の時価総額は約55.6億ドルとアイロボット(同約9.9億ドル)を大きく上回っています(2023年5月12日時点)。上場後の株価を比較しても、時価総額ほどの差はないとはいえ、エコバックスの方が大きく値上がりしました(2023年4月時点)。

【アイロボットとエコバックスの株価(月足終値 2018年6月末=100)】

Investing.comより著者作成

なお、アイロボットに関しては2022年8月、EC大手のアマゾン・ドット・コムが同社を買収すると発表しています。同買収は独占禁止法などの疑いから実現が危ぶまれていますが、成立すればアイロボットの株価は上昇するかもしれません。