純資産総額が3.3倍に急増した注目の投信
2023年に入り、「日本好配当リバランスオープン」へ資金が大きく流入しています。2022年末で約110億円だった純資産総額は、およそ370億円にまで増加しました(2023年5月2日時点)。
投資家が日本好配当リバランスオープンに集まる理由はなんでしょうか。背景を探ってみましょう。
【日本好配当リバランスオープン】
2022年の好成績が話題に
日本好配当リバランスオープンの純資産総額は2023年に急増していますが、これは前年の良好なパフォーマンスが注目されたためだと考えられます。
2022年はロシア・ウクライナ問題や金利の上昇などが影響し、国内株式市場は軟調に推移しました。例えば日経500種平均株価(※)の騰落率は12.5%のマイナスとなっています。対して日本好配当リバランスオープンは同年、およそ20%のリターンを確保しました。
※日経500種平均株価:対象を500 銘柄に拡大し日経平均株価と同じ方式で算出される株価指数
好成績を残した理由としては、不安定な相場で同ファンドが投資する高配当株が選好されやすかったこと、特に銀行株の投資割合が大きかったことから金利上昇の恩恵を受けたことなどが考えられます。
【組入比率上位3業種の推移(2022年)】
2022年3月 | 2022年6月 | 2022年9月 | 2022年12月 | |
1位 | 銀行業 (13.4%) |
銀行業 (21.9%) |
銀行業 (21.7%) |
建設業 (13.2%) |
2位 | 鉄鋼 (6.8%) |
建設業 (9.5%) |
建設業 (10.9%) |
銀行業 (11.8%) |
3位 | 化学 (6.6%) |
輸送用機器 (8.6%) |
化学 (6.9%) |
化学 (7.9%) |
出所:岡三アセットマネジメント 情報提供用資料(2023年1月)
もっとも、日本好配当リバランスオープンが良好な成績を収めたのは2022年に限りません。直近の1年間や3年間では日経500種平均株価やTOPIXを上回るリターンを残しており、設定来でもこれらの指数を大きく超えるリターンを獲得しています(2023年4月7日時点)。
【騰落率の比較(2023年4月7日時点)】
運用のわかりやすさもポイントが高い
明瞭な運用内容も、投資家が日本好配当株式リバランスオープンを選んでいる理由だと考えられます。
日本好配当リバランスオープンの運用方針は、日経500種平均株価に採用される銘柄のうち、予想配当利回りが高い順に投資するというシンプルなものです。組み入れる数は70銘柄程度で、基本的に銘柄ごとの比率には重みをつけず均等に(組入銘柄数が70銘柄なら約1.4%ずつ)投資します。
【ポートフォリオ特性(2023年4月7日時点)】
・組入銘柄数:71銘柄
・平均予想配当利回り:4.86%
参考)東証プライム市場の加重平均利回り:2.56%
出所:岡三アセットマネジメント 月次レポート
つまり、日本好配当リバランスオープンは単純に予想配当利回りが高い順に投資するという戦略で、複雑なものではありません。さらに同ファンドは月次レポートで組入銘柄を全て公表しています。多くの投資信託がポートフォリオの一部しか公開しない中、珍しい取り組みといえるでしょう。
【業種別の主な組入銘柄(2023年4月7日時点)】
鉱業 | INPEX |
建設業 | 大林組、長谷工コーポレーション、住友林業 |
不動産 | 飯田グループホールディングス、大東建託、ヒューリック |
化学 | 住友化学、クラレ、三菱瓦斯化学 |
鉄鋼 | 日本製鉄、JFEホールディングス |
海運業 | 日本郵船、商船三井、川崎汽船 |
食料品 | 日本たばこ産業 |
サービス業 | 日本郵政、MIXI |
卸売業 | 住友商事、丸紅、双日 |
銀行業 | 三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、ゆうちょ銀行 |
出所:岡三アセットマネジメント 月次レポート
難解な運用を行わず、また投資先の透明性も高い点は、投資家を惹きつける理由の1つといえるでしょう。