取引金額1京円超! FX取引が急増した理由
エフ・エー・シーでは詐欺に用いられましたが、FXそのものは魅力も多い商品です。少ない金額で大きな利益を狙えること、夜間でも取引できることなどから、利用する投資家は少なくありません。特に昨年は取引が活況となり、話題を集めました。
株式は取引所を介して投資家同士で売買することが一般的ですが、FXは金融機関との相対取引が中心です。これを一般に「店頭FX」といいます。2022年は店頭FXの取引金額が初めて1京円を超えました。
【店頭FX取引金額】
取引金額が急増した背景には値幅があるでしょう。代表的な通貨ペア「米ドル/日本円」は、ここ数年の高値と安値の差はおおむね10円前後でした。しかし2022年は35円以上も生じています。
【ドル円の値幅】
FXは、基本的に安く買って高く売るか、高く売って安く買い戻すことで利益を得ます。このときの利益は、新たにポジションを建てるときと決済時のレート差に比例して大きくなります。従って、値動きがない相場が続くとうまく利益を得ることができません。
その点で、2022年はFX投資家にとって多くのチャンスに恵まれた年でした。ドル円のレートは、日米の金利差拡大などが意識され115円台から150円台にまで大きく上昇したほか、日本の為替介入や金融緩和の修正などで大きな値動きがたびたび生じました。値幅はFXにおいて利益の源泉ですから、多くの取引を誘引したと考えられます。
【2022年のドル円(週足)】
FXは自己資金の25倍まで取引ができるため、一般に高リスクの商品とされています。ただし、取引金額は投資家が任意に決められるため、必ずしもリスクが高くなるとは言い切れません。例えば100万円あれば2500万円の取引ができますが、取引金額を100万円にとどめれば外貨預金と同程度のリスクとなります。
ポジションの取り過ぎを懸念するなら、あえて取引を制限した口座で取引するのもよいかもしれません。FXは原則として自己資金の25倍まで取引が可能ですが、金融機関によっては倍率を10倍や1倍などに限定した口座を提供しています。
このように、FXは値動きがあるため元本保証ではありませんが、リスクを調整することは可能です。挑戦する場合は、取引金額をリスク許容度に合わせて行うようにしてください。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。