マンション投資の相続税が上がる? 税制改正大綱をチェック

日中の総量規制は、いずれも不動産市場を大きく縮小させました。不動産投資において、法改正は見逃すことができない重要な要素といえるでしょう。

その点で、日本のマンション投資家は戦々恐々としているかもしれません。2022年12月に公表された令和5年度税制改正大綱で、マンションの相続税評価額の見直しを検討することが盛り込まれたためです。

マンションについては、市場での売買価格と通達に基づく相続税評価額とが大きく乖離しているケースが見られる。……このため、相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。

出所:自由民主党 公明党 令和5年度税制改正大綱

相続税の計算において、不動産は建物と土地それぞれ個別に計算されます。前者は固定資産税評価額、後者は路線価(※)が基準となることが一般的です。これらは売却見込み額よりも低くなることが多いほか、賃貸物件の場合はさらに相続時の評価額を下げる仕組みもあるため、不動産投資が相続税の節税として勧められることが少なくありません。

※路線価:国税庁が毎年7月に公表する価格。地価公示などを参考に、一般に時価の80%程度を目途に算出される。

もっとも、これは不動産全体にいえる仕組みです。マンションのような区分所有の場合、一戸あたりに案分されるものの、相続税の計算は他の不動産と大きな違いはありません。なぜマンションだけが問題視されているのでしょうか。