9割超の月で資金が流入

「コモンズ30ファンド」は、独立系の運用会社「コモンズ投信」の旗艦ファンドです。設定から2023年1月までの90%を超える月で純資金流入が起こり、2023年2月には初めて純資産総額が400億円に到達しました。設定額からの増加率は実に330倍以上にも上ります。

【コモンズ30ファンド】

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成

コモンズ30ファンドは、なぜ大きく成長することができたのでしょうか。

グローバル企業への厳選投資で好成績を実現

コモンズ30ファンドは、国内への投資ながら世界経済の恩恵を受けられる戦略が支持され、資金を集めていると考えられます。

コモンズ30ファンドの主要な投資対象は、世界で成長が期待できる国内企業の株式です。投資先企業は原則として30社程度に厳選し、うち22社を海外売上高比率50%以上の企業が占めました(2022年7月末時点)。投資先をグローバル企業に絞り込む戦略は奏功し、設定から2023年1月末までのリターンは300%を超えています。

【主要な投資先企業の海外売上高比率(2022年7月末時点)】

 海外売上高比率      投資先企業
80%以上 東京エレクトロン、ディスコ、本田技研工業、小松製作所、シスメックス、マキタ、日東電工
70~79% 信越化学工業、ダイキン工業、SMC、クボタ、堀場製作所
50~69% 資生堂、日揮ホールディングス、エーザイ、丸紅、ユニ・チャーム、味の素、セブン&アイ・ホールディングス、日立製作所、デンソー、リンナイ

 

少子高齢化が進む日本では、長期的な成長に強く期待することはできません。かといって、基本的に為替リスクが生じる海外株式は一般に日本株式よりリスクが大きく、投資をためらう人は少なくないでしょう。

グローバル企業に投資するコモンズ30ファンドなら、直接的な為替リスクを避けつつ世界経済の成長を享受することができます。これが評価され、コモンズ30ファンドが人気を集めていると考えられます。

よりよい社会づくりに貢献できる点も魅力

社会貢献の仕組みを持つ点も、コモンズ30ファンドが支持される理由の1つでしょう。

コモンズ投信は「コモンズSEEDCap」という寄付プログラムを実施しています。これはコモンズ投信が得る信託報酬の1%相当を、社会的な課題の解決を目指す起業家に寄付するものです。寄付先はコモンズ30ファンド保有者の意見などを参考に決定され、2022年度までにNPO法人などを運営する13人の社会起業家に寄付が行われました。

【コモンズSEEDCapの寄付実績(寄付先の運営団体)】
・2020年度:NPO法人親子の未来を支える会
・2021年度:NPO法人チャイボラ
・2022年度:NPO法人PCV(ピースカルチャービレッジ)

よりよい社会の実現が、多くの人の願いであることに疑いはありません。その支援をできる仕組みが共感を呼び、コモンズ30ファンドに資金が向かっていると考えられます。