相次ぐ値上げに賃上げ…日本はデフレから脱却できるか

日本銀行は2013年からより強力な金融緩和を実施しました。以降、日本の物価は少しずつ上がっています。特に2022年はロシア・ウクライナ問題などから資源価格が上昇し、日本においても物価が大きく上昇しました。

【消費者物価指数(総合、2012年=100)】

総務省「消費者物価指数」より著者作成

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デフレ脱却の兆しが見えたことは喜ばしいですが、物価の上昇は家計にとって頭の痛い問題です。収入が伴わなければ消費が冷え、かえって景気が悪化するかもしれません。

こういった事情もあり、今年の「春闘」は注目を集めそうです。春闘とは新年度に向けて行われる労使交渉のことで、例年3月に労働組合の要求に対して企業が回答します。

うれしいことに、2023年度は賃金の引き上げに期待できるようです。帝国データバンクの「2023年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、前年度に続き多くの企業で賃金を改善させる意向があると回答しました。既に大幅なベースアップを表明する大企業も現れています。

【企業規模別、賃金改善の実施見込み割合】

帝国データバンク「2022年度の賃金動向に関する企業の意識調査」および「2023年度の賃金動向に関する企業の意識調査」より著者作成

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もっとも、賃上げは企業にとって業績の圧迫要因です。賃上げが持続的なものになるには、企業の生産性向上が求められるでしょう。