米国のMLP(Master Limited Partnership)市場が堅調だ。エネルギー事業を主な収益源とする共同投資事業形態を意味するMLPは原油価格と連動する傾向にあったが、2022年後半に下落した原油価格とは対照的に堅調さを維持した。その背景には米国のエネルギー業界の収益環境の変化や、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などがあったとみられる。各種レポートを基に22年のMLP市場を振り返り、23年の見通しを紐解く。

原油などエネルギー価格と連動するMLP

MLPは、主として天然資源などのパイプラインや貯蔵施設に投資を行い、その利用料を収益源として投資家に配当を還元する仕組みだ。REIT(不動産投資信託)のエネルギー事業版と説明されることもある。エネルギーインフラへの投資促進を目的として、1980年代に米国で誕生し、その後発展していきニューヨーク証券取引所やNASDAQなどの金融商品取引所に上場している。総所得の90%以上を天然資源の探査・採掘・精製・運搬・備蓄等から得ていることがMLPの要件で、その要件を満たすと原則として法人税が免除される仕組みだ。

米国では100を超えるMLPが設立されており、こうしたMLPの動きを示す代表的な指数が米アレリアン社が算出するMLP指数である。市場規模としては、縮小傾向にある。1995年12月29日を基準日(100)とし、ニューヨーク証券取引所上場のMLP50銘柄で構成されている。市場規模の小ささなどから値動きが比較的大きいのも特徴だ。

エネルギー関連事業は川上・川中・川下に分けられており、川上は探査・開発・生産、川中は流通・精製・備蓄・輸送、川下は卸売り・小売りと分けられ、MLPは主に川中事業に投資をする。川上・川下事業は、資源価格や需要などによって収益が変動する。川中産業の主な収入の変動要因は資源輸送量となっており、原油価格変動からの直接的な影響は受けにくいものの、MLPの株価は原油価格と連動する傾向にある。