2022年のブランドインテグレーション評価をみると、名前を聞いたことがあるというような「世間における知名度」の重要度が低くなった。これは、銀行や証券会社といった販売会社を通じて販売される投信の人気商品が「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」や「フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)」のような外資系が運用するファンドに偏ったことが影響しているように感じられる。2021年12月末までの米国を中心とした成長株の値上がりの大きさと2022年前半まで続いた影響が起因している。当然、外資系が運用する商品の販売が多くなれば、知名度よりも運用実績や客観的なデータに基づく評価など「信頼できる」ことを重要視する傾向は強くなるだろう。

知名度のある大手に需要が傾斜か?

2022年には「ブランド力」を評価する項目のひとつに「歴史がある」を加えたが、こちらは「特長や運用哲学を良く理解している」という項目と並んで、評価の2番手グループになった。「特長のわかりやすさ」などはどちらかといえば、規模が小さくて特定の分野を注力・強化しやすい中堅以下の規模の運用会社の特徴になり、「歴史がある」ということも現在の規模の大小にはあまり関係のない項目だ。これらの評価が、30%台程度にとどまるのは、販売会社の間では、長年の環境に耐えてきた独特の運用手法等で特徴が際立った商品よりも大手で知名度のある運用会社のオーソドックスな商品の需要が強いという傾向があるのかもしれない。

なお、2023年になって米国経済にリセッション懸念が高まり、米国株式市場の見通しが厳しいものになっているため、2022年までのように米国系のファンドが投資家にアピールしやすい環境ではなくなる。このような変化が、運用会社のブランドに対する評価に、どのような影響を与えるのか興味深い。