なぜ「お金」なのかというと、僕自身がお金からたくさんのことを学んできたからです。

お金を扱う仕事をし始めて30年が経ちますが、お金について考えることで、仕事や社会、そして人生そのものを広く深く見渡すことができるのだと、実感しています。

お金は僕たちに「フラットであれ」という教訓を教えてくれます。

お金は一部の人の元に集まって貧富の差を生むこともありますが、本来は、水のようにしなやかに流れる特性を持っています。

社会の隅々にまで行き渡って、循環を生み、素敵な未来をつくる夢を応援する。そんなパワーも秘めているのです。

僕が長年仕事にしている「投資信託」もまさにそう。

できるだけたくさんのお客さまから「すぐに使う予定がないお金」を預かって、まとまった資金にして、株式や債券に投資して運用し、利益を出して、お金を出したお客さまに還元しています。株式や債券を発行する人たちは、「やりたいことがあるのに、実行するための資金が自分のお金だけでは足りない」という事情を抱えている人たちです。

つまり、お金には必ず「人」の存在がひもづいている。夢がある人のもとに、お金を動かすことができる。

お金を出す人は「投資家」と呼ばれますが、その投資家とお金の関係もフラットです。北海道から沖縄までいろいろな場所に住んでいる、年をとった人も若い人も、100万円を出した人も1万円を出した人も1億円を出した人も、どんな人のお金もみんな平等に大切にしながら運用していく。

こういうお金の仕組みを知るほどに、世の中の見え方も変わっていきます。

 僕は、「お金」について知るほどに、社会と関わることが楽しみになりました。

それにとても大切なことに気づいたので、ぜひみなさんに伝えたいと思ったのです。 14歳も、大人も、等しく「お金」と関わっているんだと。

この意味がすぐには分からなくても、本を読み終える頃には、きっとみなさんは何かを感じ取ってくれるはずです。

さあ、さっそく14歳の僕を呼んできて、「お金の話」を始めましょう。

●第2回『「投資家はお金ばかり扱っている虚業」の声にカリスマ投資家がNOと言う“理由”』はこちら>>

14歳の自分に伝えたい「お金の話」

 

藤野英人 著
発行所 マガジンハウス
定価 1500円(税込み)