収益を圧迫する為替手数料。表面上の利率に踊らされない見極めが必要に

まず外貨定期預金を利用する場合は、円を外貨に替えて預ける一方、満期時に自動継続しない場合は、外貨を円に替えて引き出す必要があります。この「円→外貨」、「外貨→円」の為替取引を行う際に、為替手数料がかかってきます。
高金利を提示している銀行でも、この為替手数料が高いと収益性が一気に悪くなります。

たとえば米ドルの場合、片道で1ドルにつき1円の為替手数料が取られたらどうなるでしょうか。

1万米ドルの外貨定期預金を作成するとします。利率が年4%だとしたら、1年後の米ドル建て元利合計金額は1万400ドルです。つまり400ドルが利息になります。そしてここから20.315%が源泉分離課税されますから、手取りの利息は318.74ドルです。

ただし、前述したように1ドルにつき片道1円の為替手数料がかかるとしたら、往復で2円ですから、1万米ドルの外貨定期預金を作成し、さらに満期時に円に戻して元利金を受け取ると、合計で2万円が為替手数料として徴収されてしまいます。

仮に1ドル=135円で預け入れ、満期時まで全く変わらなかったと想定した場合、円建ての預入金額は135万円。1年後に4%の利子が付いたとして、税引き後の元利合計金額が1万318.74ドルですから、1ドル=135円だとしたら、円建ての満期時元利合計金額は139万3029円ですが、そこから為替手数料の2万円を差し引くことになるため、実際の手取りは137万3029円になります。

円建ての預入金額は前述したように135万円ですから、円建ての税引後、為替手数料差し引き後の実質的な利回りは、年1.70%まで低下してしまうのです。

ちょっと話が長くなりましたが、外貨定期預金を利用する際には、表面上の利率だけでなく、為替手数料も含めたトータルの収益率を比較しなければなりません。
以上は、どうしても外貨定期預金を利用したい場合の注意点ですが、果たして、自分の資産ポートフォリオに外貨定期預金を組み入れる必要があるのか、という点は、しっかり考えた方が良いでしょう。