意外にも賃金の伸びが鈍化する年齢が早い金融・保険業界

金融業界・保険業界で働いている人たちは、40代、50代になると年収ベースで1000万円に乗るケースが多く見られます。

しかし、グラフ2にもあるように、賃金の伸びは35-39歳から次第に緩やかなものになっていきます。それと同時に、35-39歳という年齢階級は、何かと出費がかさんでいくタイミングでもあります。結婚して子供が生まれれば、教育費がかさんできますし、家族が増えれば住む場所も大きくならざるを得ません。狭い賃貸アパートで暮らすわけにもいかず、戸建て住宅や分譲マンションを購入する人も増えていきます。

このように、賃金の伸び率が鈍化していくにも関わらず、支出がかさんでいきますから、分不相応に生活水準を引き上げてしまうと、年収1000万円プレイヤーであったとしても、生活が破綻するリスクが高まってくるのです。

もうひとつ大きなリスク要因があります。それは、晩婚化・晩産化の傾向が強まっていることです。20代後半で結婚して順調に子供が育てば、恐らく50歳前後で子供が独立し、そこから老後資金を蓄積できます。50-54歳にかけての賃金は、45-49歳までに比べて5.17%上昇していますから、この5年間である程度の資産形成をすることは可能でしょう。

しかし、晩婚化・晩産化によって、たとえば35歳で子供を持つことになると、子供が独り立ちする時、すでに賃金が大幅に減らされていて、生活苦に陥るリスクが高まります。

世間的には高給取りのイメージが強い金融業界・保険業界ですが、実は賃金の伸びが鈍化する年齢が意外と早く訪れるので、金融業界・保険業界で働く人は、早め早めに自分の老後を見据え、資金的な準備を行っておく必要があるのです。