“争族”への警鐘を鳴らす情報は多いものの、鵜呑みはNG
最近気になるのは、この財産を分ける際に「争族」が起こるかもしれないと指摘する専門家等の動きが活発なことです。今まで仲が良かった兄弟が、親が亡くなると手のひらを返したように険悪になり、財産を奪い合うことがあるから、今のうちに対策しましょうといった「争族対策」を促すケースです。
もちろん実際そういうケースもあるのでしょう。親の介護を一人で担ったにもかかわらず報われなかったとか、前妻の子がいきなり現れて遺留分を請求したとか、ネットで探せば様々な話を目にします。
しかし、このような話を鵜呑みにして疑心暗鬼になってしまうのは良くないと、私は思っているのです。先走って「争族」対策をしたことで、人間関係が険悪になる方がよっぽど問題です。
誰だって痛くもない腹を探られたら気持ちが良いものではありません。親切心も懐疑的に受け止められたら、人間関係が壊れてしまいます。何が言いたいかというと、対策も大事だけれどその前に「人とのつながり」をまず大事にしましょうということです。
家族の相続でギクシャクするかもしれませんが、まずは家族が仲良く常日頃思いやりのある対話をしていれば「争族」は起こらないでしょう。また相続に限らず、穏やかなコミュニティがあれば、たとえ認知症になったとしても、身体が不自由になったとしても、安らかな気持ちで暮らせるでしょう。