東洋水産の主力事業が即席麺になった理由

1953年に創業した東洋水産は、もともと築地市場で冷凍マグロの輸出を手掛ける水産業者でした。しかし現在、同社における水産食品事業のプレゼンスは低く、その割合は売上高でおよそ7%、営業利益では1%ほどしかありません。東洋水産の業績は、大部分を即席麺事業が支えています。

【各事業セグメントの割合(2022年3月期)】

出所:東洋水産 2022年3月期決算説明会資料

東洋水産の即席麺事業について、海外の売上高が大きいことに気付いた人もいるかもしれません。東洋水産は1972年から海外に進出するグローバル企業でもあり、これまで同社の成長をけん引してきました。特にメキシコでの人気が高く、現地では「すぐできる/簡単にできる」といった意味を持つ言葉として「Maruchan」が使われるほどです。

ところで、水産業として生まれた東洋水産が、なぜ即席麺を手掛けるようになったのでしょうか。

東洋水産は、1956年から魚肉ハム・ソーセージといった加工食品の販売も始めました。その需要が下がる冬季向けの商品として、1961年に即席麺の販売に乗り出したのです。いわば主業に付随するかたちで始まった事業でしたが、比較的早い時期に「赤いきつねうどん」(1978年)や「緑のたぬき天そば」(1980年)などの人気商品が続々誕生し、即席麺は東洋水産のメイン事業に育ちました。

【東洋水産の主な即席麺商品】

 

出所:東洋水産 商品情報