人生100年時代となった現代では、結婚にこだわらず独身を選ぶ方も増えています。また、核家族化が進む昨今では結婚の有無を問わず、おひとりさまで老後を過ごすケースも少なくありません。金融庁の報告書から話題となった「老後2000万円問題」も記憶に新しい中で自身の葬式や納骨、介護、看取り、相続……考えなくてはいけないことは山積みです。

そんな「おひとりさまの老後」をより充実したものにするには、“終活”が欠かせません。酒井富士子氏著『おひとりさまの終活準備BOOK』は、“終活”ですべきこととその考え方が多岐にわたってわかりやすくまとめられていると話題です。今回は特別に第1章「いくら準備すれば安心?」の一部を公開します(全3回)。

●第2回を読む

※本稿は酒井富士子『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

脱! 「65歳以降は年金生活」の既成概念
まずは65~70歳までは「月5万円分」働こう!

田中さん夫婦の例からも、65歳から公的年金だけで生活するのはなかなか難しいことがわかりました。これはおひとりさまでも同じことです。対策として考えられるのは、第1回でご紹介した「WPP」という考え方です。

WPPの「なるべく長く働く」という方法で、65歳から70歳までは月5万円(年60万円)働いてみるとどうなるでしょうか。下図のように、田中さん夫婦の場合、2人で70歳までは月5万円だけでも細々と働き続けるだけで、入ってくるお金は324万円や300万円の生活資金の目安額を超えた金額になります。自分たちが1年で使う予算よりも多くのお金が入ってくることは、生活していくうえで安心感が違うのではないでしょうか。

今の70代はアクティブで元気です! もちろん、70歳以降も働き続ければ、よりお金の不安はやわらぎます。どこまで働けるか先のことはわかりませんが、70歳までは月5万円分働くことをまずは当面の目標にしてみてはいかがでしょうか。