ここ数年ですっかり認知度の高まった、「FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期引退)」。
FIRE実現の手段としては、一般的に「1億円貯めて年率4%で運用してリタイア」というように、資産運用収益だけで生活を賄う、“ストック型”の方法がよく挙げられます。
しかし、井戸美枝氏は大半の人にとってこの方法は現実的ではないと指摘。むしろ、面白さを感じながら続けられる仕事を見つけ、生活を見直し、給付金や補助金、リースやシェアなどお金に関する制度や仕組みを活用して、その人自身の経済的自立と望ましい生き方を手に入れる「ライトFIRE」こそが、多くの人にとって実現可能性が高く、最善の選択肢だと提案します。いわば入ってくるお金で暮らす、“フロー型”のFIREというわけです。
そんな「ライトFIRE」を叶える100の実践術を解説したのが、話題の書籍『お金がなくてもFIREできる』。 今回は同書より、序章「FIREが与えてくれるもの」、第1章「貯め方・使い方を変える!」、第2章「増やす!」の一部を特別に公開します(全3回)。
※本稿は井戸美枝著『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。
電気・ガス料金高騰は契約見直しのチャンス
世界的なエネルギー価格上昇の影響を受け、電気料金やガス料金が高止まりしています。
電気料金を例に取ると日本の大手電力10社すべてが引き上げていて、家庭によっては「5倍以上に跳ね上がった」という例もあるようです。
総務省の「家計調査」を見ると、電気代は水道光熱費の約5割、ガス代は約2割を占めており、この2つの高騰は家計を直撃します。見方を変えれば、これからライトFIREを実現するためには、見直しが欠かせない費目と言えそうです。
電気代を抑えるには、「契約アンペア数」を下げて基本料金を安くする方法があります。また、蛍光灯(シーリングライトや電球)をLED照明に替えるのも効果的です。
政府は2030年までにすべての照明器具のLED化を目指していて、発売当初は割高だったLED照明器具も市場が拡大するにつれて価格低下が進み、買いやすくなっています。
パナソニックの「あかりでできる節電シミュレーション」というサイトで白熱の一般電球タイプ5個と小型電球タイプ5個を、LEDに替えた場合の電力料金の変化を計算したところ、なんと年間で2万円以上も安くなるという結果が出ました。
加えて、近年は電気や都市ガスの「小売り全面自由化」を受け、他業種からの新規参入が相次いで価格競争が激化しており、中には「電気とガス」「電気とネット」といったお得なセットプランを提供する会社もあります。
料金の上昇幅が大きい今は、こうしたプランを活用し、ドラスティックに料金を見直す好機でもあります。
ただ、セット契約が有利に働くかどうかは個々の家庭によって異なるため、「エネチェンジ」や「価格.com」のような比較サイトを使って検討するといいでしょう。エネチェンジでは、月ごとの使用量を記録しておいて入力すれば、電気代の季節による使用量(料金)の違いを反映したプランの提案もしてくれます。
POINT
電力のセットプランは自分の家庭に合ったものを探す