任意後見制度の利用がおすすめ

そこで、私が提案したのが「任意後見制度」の利用です。任意後見とは現在は判断能力がある人が、判断能力が衰えたときのために、任意後見人(支援してくれる人)と支援内容を決めておく制度です。

自分に判断能力があるうちに、財産管理や介護施設入所などの手続きなどの支援を信頼できる人に依頼し、任意後見契約を結んでおきます(契約にあたっては、公正証書を作成する必要があります)。そして、いよいよ本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に「任意後見監督人選任」を申し立てます。任意後見監督人とは文字通り「任意後見人を監督する人」で、家庭裁判所が選びます。こうした手綴次期を経て、実際に任意後見による支援がスタートする、というわけです。

ちなみに、任意後見人は子どもでも知人でもかまいません。また、身の回りに頼めそうな人がいない場合は、司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。

任意後見監督人には家庭裁判所が決めた報酬を支払わなければなりません。任意後見人への報酬は契約によりますが、専門家に依頼する場合などは必須と考えてよいでしょう。そのため、財産がほとんどない人は利用しにくい制度ですが、秀子さんのようにある程度まとまった資産のある人には、有益といえます。

東京家庭裁判所立川支部が公表した成年後見人等の報酬額(月額)の目安は以下のようになっています。