「仕組み預金」のリスクに注意
先日、顧客とのトラブルが多い「仕組み債」の販売を主要な銀行が停止したニュースが話題になりました。オプションなどのデリバティブを組み込んだ債券で、一般的な債券より金利が高く設定される傾向にあります。
好金利が期待できる一方、仕組み債の購入者は間接的にデリバティブ取引を行うことになり、元本割れの可能性があります。リスクを認識しないまま購入するケースが多く、金融庁は金融機関の販売姿勢を問題視していました。
同じようにデリバティブ取引を組み込んだ預金商品が「仕組み預金」です。デリバティブ取引による収益を原資にすることで、一般的な預金より高金利が設定されています。しかし、仕組み預金は以下のような点に注意しなければいけません。
【仕組み預金の主な注意点】
・満期まで基本的に途中解約できない
・途中解約する場合、元本割れの可能性がある
・満期を選べないケースがある
・外貨で償還される仕組み預金は為替変動で元本割れの可能性がある
円貨で取引される仕組み預金は、元本保証されている商品もあります。ただし、預入期間には注意してください。仕組み預金は原則満期まで途中解約することができず、例外的に途中解約する場合は元本割れの可能性があります。また、預け入れるまで満期が確定しない商品もあり、近い将来に引き出す資金の預け入れには向きません。
外貨で償還される特約が付いた仕組み預金もあります。所定日の為替レートなどで償還される通貨が判定され、一定の水準を下回った場合に外貨で償還されるものが一般的です。外貨で償還される場合、円貨ベースで元本割れとなる可能性があるため注意してください。また、判定日に為替レートが一定水準を上回った場合も、基本的に円安のメリットは受けられない点に留意が必要です。
仕組み預金は一般に高い金利が表示されており、一見魅力的に見えるような広告が少なくありません。しかし、実際には元本割れのリスクをはらんだ商品であることを覚えておきましょう。説明書をよく読み、商品性を理解して判断してください。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。