DCガバナンスの視点から受託者責任を果たす目的で、投資信託のモニタリングや入れ替えを検討・実施する企業も少しずつ増えています。第2回最新DC投信マーケット解説は、三菱アセットブレインズの長島寛氏に解説していただきます。DCの投資信託のモニタリングにお役立てください。

※この記事は、2022年8月25日(木)に実施したWEBセミナー「 最新DC 投信マーケット解説 2022年8月号」を記事化したものです。

——早速今月のDCマーケット状況について伺いたいと思います。まずはアセットクラスごとのパフォーマンスをお聞かせください。

まず、図1のグラフをご覧ください。こちらは過去2年間のファンド分類別の累積パフォーマンスを示したものです。外国債券、エマージング債券、国内債券で横ばいとなるなど債券資産を中心に軟調な推移となりました。その一方、株式・REIT資産などは良好なパフォーマンスとなりました。ただし、株式・REIT資産は2022年に入って以降、金利上昇の影響を受け値動きの荒い展開が続いています。

図1 分類別累積パフォーマンス  拡大画像表示

※ 公社債投信等を除くDCファンド(専用・共用)について月間収益率をカテゴリー別に単純平均し、 24ヵ月前を100として指数化したもの。 出所:三菱アセット・ブレインズ

次に分類別の月間パフォーマンスランキング(図2)を確認します。ここでは当月7月のパフォーマンスに注目しましょう。2022年7月にパフォーマンスが良かったのは、外国REITと外国株式のカテゴリーです。外国REITは+4.9%、外国株式は+4.2%上昇しました。この2つのカテゴリーは7月末に米国FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が今後の利上げペースの鈍化に言及したことが好感され、パフォーマンスが大幅に上昇しました。前月6月は外国REITが-3.1%、外国株式が-2.6%と下落していたのと比べると当月は大きく反発した格好です。ここ数ヵ月は米欧の金融政策の方向性に左右される形で、株式市場等が乱高下する展開が続いています。また、当月は国内株式も+3.8%と反発しました。参議院選を無難に通過したことや円安の進行に加え、米国株式市場の反発を受け国内株式も同様に持ち直しの動きをみせました。

図2 分類別パフォーマンス  拡大画像表示

※ 公社債投信等を除くDCファンド(専用・共用)について各期間別の収益率をカテゴリー別に単純平均し作成したランキング表。 出所:三菱アセット・ブレインズ

一方、当月最もパフォーマンスが悪かったカテゴリーはエマージング株式でした。中国株の下落が影響しました。中国本土で新型コロナウイルス感染が再拡大し、行動制限の実施による景気減速への警戒感から下落しました。