若年層の給与の伸びは鈍化し、可処分所得は減少
6月28日付の日本経済新聞朝刊で、若年層の給料の伸びが鈍化しているという分析記事が掲載されていました。厚生労働省の賃金構造基本統計調査をベースにした同分析によると、新卒後10年間の給与の伸び率は、1990年に比べて1割あまり縮小したとのことです。20代前半の給与水準を100とした場合、30代前半の給与は、1990年が151.0、つまり1.5倍にまで増えていたのに対し、2020年は129.4に止まったそうです。
さらに、20代独身男性の実質可処分所得、つまり実際に自由に使えるお金の年額は、1990年が平均318.7万円だったのに対し、2020年は271.6万円まで目減りしたことにも触れています。健康保険や厚生年金保険の料率が上がり、年間の負担額が29.4万円から49.8万円まで膨らんだのが、実質可処分所得を大きく目減りさせた背景にあると分析しています。
2022年時点で、たとえば32歳の人たちが生まれたのは1990年です。親は恐らく1960年生まれくらいでしょうか。そうなると親の年齢は62歳前後になります。最近は65歳定年の会社が多いので、定年まではまだ数年を残していますが、役職定年を迎え、収入もピーク時に比べれば大幅に減額されていることでしょう。
とはいえ、大手企業勤務であれば退職金もしっかり受け取れますし、65歳から満額受け取れる厚生年金の受給額も、そんなに悪くはないはずです。その意味では「逃げ切った感」があるかもしれません。65歳以降は、それまでに積み上げた貯蓄の取り崩しと公的年金で、つつましい生活を送ることは出来るでしょう。