長期・分散・積立による資産形成を促す投資信託協会の「つみけんサイト」に、資産運用をしている個人なら誰もが気になるタイトルのレポートが掲載されました。題して「投資成績が『良かった』のはどんな投資家なのか?」です。

投資成績の大半は-5~+15%以内に収まる分布・傾向に

この内容は2022年6月4~5日に開催された日本ファイナンス学会、第30回記念大会において報告されたもので、野村アセットマネジメント運用部経済調査チーム兼資産運用研究所の胡桃澤瑠美氏、同資産運用先端技術研究部の森田啓介氏、野村證券金融工学研究センターエグゼクティブディレクターの大庭昭彦氏の手によるものです。

回答者のプロファイルなど詳細は、投資信託協会のサイトに公開されているので直接レポートを読んでいただきたいと思います。

回答者のプロファイルは、年代だと20代から60代。世帯収入が500万円未満から2000万円以上、保有資産が100万円未満から5000万円以上、投資歴は1年未満から10年以上と幅広く網羅した結果になっています。

ちなみに、このレポートの分析は、野村アセットマネジメント資産運用研究所が2021年8月下旬、全国20歳から69歳までを対象に実施したインターネットによるアンケート調査、「ETF投資家調査2021」の結果の一部を利用。ETFや株式、あるいは投資信託の購入経験者、または投資しようと考えている人たちの回答を集めたものになります。

同レポートを読む注意点としては、具体的な投資のノウハウについて聞いたものではなく、たとえば「金融商品購入時に参考にしている情報・メディアは何か」とか、「投資情報の確認頻度はどの程度か」、「投資する際に重視する点」について回答したものであり、これも読んだからといって投資が上手くなるという話ではないという点には留意しておいて下さい。「ふーん、なるほどね」という程度の感覚で目を通すくらいで良いでしょう。

では、レポートの中身を紐解いていきたいと思います。

まず投資成績の分布です。これは+30%以上から▲30%未満まで、7段階に分けて、自分のリターンがどの程度なのかを回答してもらったものですが、どのくらいの投資期間で得たリターンなのか、記入した回答が本当に実現したリターンなのか、という点が不透明なので、参考までに見ておくという程度で良いでしょう。それによると、あらゆる年代、あらゆる世帯収入、あらゆる保有資産の額、あらゆる投資歴において、最も多かった回答が、「5%~15%未満」と「▲5%~5%未満」の層でした。サンプル数全体のうち前者の占める回答比が27.0%、後者の占める回答比が21.8%であり、両者を合わせて48.8%を占めています。