前回(いよいよ「バリュー株」が復活へ? 潮目の変化のカギはインフレにあり)はバリュー株の復活について見解を述べました。今回はバリュー株と同様に、最近、株式投資における重要なファクターの1つとみなされているESGについて、取り上げたいと思います。

ESGと投資リターンの間に関係はあるのか?

そもそもESGと投資リターンの間にはどのような関係があるのでしょうか? これまでさまざまな研究がされていますが、残念ながらESGファクターと投資リターンの関係性について、学術的な観点からはまだ明らかになっていません。とは言え、各指数を用いて単純にベンチマーク比較を実施すれば、結果としてどのような効果が得られたのかは確認できます。

実際、2007年10月~2022年4月のデータを見ると、先進国ではESG指数(MSCI World ESG Leaders指数)とその親指数(MSCI World指数)では、リスク・リターン特性に大きな違いは見られませんでした。しかし、新興国ではESG Leaders指数のほうが、リスクは若干低く、リターンは年率3%近く高くなりました。ESGスコアの高い企業は、概してディフェンス力が高い場合が多く、2020年3月のコロナショック時には下落幅を多少は抑制できています。それが超過収益をもたらした要因かもしれません。

実績からは、先進国での有効性は確認できませんでしたが、少なくてもESGがリターンの足を引っ張ることにはなっていないようです。また、新興国ではリターンの観点から相応の効果が確認できました。これらを理由に「ESG投資を始めようかな」と考える人もいるでしょう。ではその際、パッシブ運用とアクティブ運用のどちらが良いのでしょうか。