結果が間違っていても現在まで愛される努力の人

野口英世が多くの病原体の発見を報告できたのは不断の努力があったためだと考えられています。

野口英世が研究者となった当時、発見されやすい病原体の多くはすでに発見されていました。残っているものは発見が難しいものばかりでしたが、野口英世は「実験マシーン」と呼ばれるほどあらゆる実験を行いさまざまな病原体の発見を報告します。

しかし現在、これらの発見の多くは認められていません。野口英世の代表的な研究対象だった黄熱病はウイルスが原因で起こりますが、ウイルスは一般的に非常に小さく、当時は観察できる顕微鏡がありませんでした。つまり野口英世が黄熱病の病原体を発見することはできないのです。同じく野口英世が発表したポリオや狂犬病も現在ではウイルスによって引き起こされると知られています。

結果的に成果の多くは間違いでしたが、野口英世は現在でも多くの人に愛されています。黄熱病の研究を行ったエクアドルでは生誕100周年にあたる1976年に記念式典が行われ、記念切手も発行されました。近年では2019年にメキシコで来墨100周年記念式典が開催されています。

野口英世の名を冠した施設も少なくなく、エクアドルには「野口英世小学校」が、ガーナには「野口記念医学研究所」も設立されました。野口英世がいかに愛されているか分かりますね。

野口英世はアメリカに埋葬され、墓には「科学への献身により、人類のために生き、人類のために死んだ」と刻まれています。研究成果は評価されませんでしたが、医学のために努力を絶やさなかった姿勢が今日まで慕われる理由かもしれません。