インフレ下では弊害が目立つ日銀の金融緩和政策
世界情勢が安定しない中で、これから日本が輸出額を拡大できるかは不透明だ。悪材料の好転が一気に進むとは予測できず、外部環境に大きく左右される状況が続くとみられる。さらに、日米金利差が拡大するなど円安の進行に追い打ちをかける。約20年ぶりに1ドル=130円台に到達するなど今後も円安水準が続きそうだ。
国内では、新型コロナウイルスが流行するはるか昔の2013年4月から日銀によって金融緩和政策が導入された。その狙いは2%の物価安定目標だが、導入から10年近くが経過しても物価が上昇するどころか、横ばいまたは下落する程度の効果しかもたらしていない。金融緩和による弊害の方が目立っているとの見方もある。「経済の血流」ともされる銀行がマイナス金利によって経営悪化に陥るなど厳しい経営環境が続く。
新型コロナウイルス拡大の影響をうけて、欧米などの中央銀行も2020年に金融緩和や政府による財政政策を導入した。経済が当初から回復傾向を見せつつある中で、想定以上の物価が上昇し、インフレ圧力が高まってきた。そのような中で、米中央銀行にあたるFRBはインフレを抑えるために利上げ時期を前倒し、実行段階に入った。欧州でも2022年秋からの金融緩和からの脱却が示唆されている。日本はいつまで金融緩和を続けるのか。金融緩和によるポジティブな影響が見えてこないのが問題だ。
執筆/招福亭たぬき
金融、経済ライター。マクロ経済や金融全般の執筆に定評がある。仕事を通じ金融の面白さに気づき、日々勉強中。最近ではつみたてNISAやiDeCoなど自身の資産形成にも関心を広げている。将来、活動の軸をYouTubeやInstagramに移し、いつかFIREを実現したい…と夢見る