先日、国土交通省より発表された令和4年「地価公示」を基に、前編では東京の区市町村別に算出された住宅地平均価格を見てきました。後編では「価格」だけでなく、対前年変動率から「上昇率」を見ることで、住宅地としてどのエリアが注目を浴びているのかなどを探っていきます。

●前編はこちら

まず、以下が東京の上昇率TOP20。

※△はマイナスを示す。
出所:東京都財務局「令和4年地価公示価格(東京都分)」

なお、東京都全域(住宅地)では、令和3年の変動率は△0.6%、令和4年の変動率は1.0%でした。

一部の区を除いて、やはり都心3区や6区が上位に並び、“地価が高くとも需要は健在”という強さがうかがえます。また、令和3年こそコロナ禍の影響で変動率がマイナスの区市が多いものの、令和4年には多くが反転しているのも特徴的です。

しかし、最も目を引くのは5位に入った稲城市ではないでしょうか。稲城市は、南は神奈川県の川崎市と接し、北は 多摩川を隔てて府中市、調布市にも接する多摩地区の市。

近年は区画整理や大規模開発が進んでいて、特に南山東部土地区画整理組合による「スカイテラス南山」の開発は最終段階にあります。来年にはよみうりランド方面に大型レクリエーション施設の完成も予定され、ますますの盛り上がりが期待されています。こうした一連の開発が好感されている点が、高い上昇率の要因の1つなのでしょう。

ちなみに稲城市の標準地で最も高いのは、「東京都稲城市大字東長沼字七号2120番2」の30万円/m²。前編で行った、「戸建ての敷地として買ったとしたら?」という試算をこちらでもしてみましょう。30万円×168.7㎡で、5061万円。決して安くはないものの、前編に登場した吉祥寺に比べれば、「これなら買える」と思う方が増える価格かもしれません。

なお、稲城エリアには10万円台後半の標準地もありました。例えば、「東京都稲城市大字百村字三号251番7」は、17万7000円/m²。こちらで同じ計算をすると、約2985万円となります。