貯金は10万円、公共料金の支払いが滞ることがあるという相談者の小畑光輝(仮名)さん。自分の父親が「年金だけで暮らせていた」イメージがあり、意外となんとかなるのではと思っていましたが、「ねんきん定期便」で明らかになったのはこのままでは月額約8万6000円しか受給できないというシビアな現実でした。

「今、ここから」できる貯蓄の仕組み作りを林 智慮さんが解説します。

●前編はこちら

まず、収支の管理ができるようにお金の流れを仕組み化

お兄様から助言があったように、収入が得られるうちに、少しでも老後資金を作っていく必要があります。

しかしながら、時折公共料金の支払いが滞る今の状態のままでは、老後資金どころではありません。

今は奥様に給与のほとんどをお渡しとのこと。奥様のほうがお金の管理が苦手なのなら、小畑様自身がされた方いいかもしれません。

また、公共料金などを「有る時払い、お金が余っていたら払う」のもいただけません。必ず出ていくことが決まっているお金は口座振替で支払うようにし、はじめから“なかったもの”、つまり残されたお金の中で生活、さらには貯蓄するくらいでないと貯蓄体質には変われません。

ちなみに、よくメディアでは公共料金の支払いをクレジットカードで、と言われていますね。今やほとんどの公共料金がクレジットカード払いに対応しています。クレジットカードを利用すれば、カードの引き落と日と金額だけ押さえておけばいいし、利用明細で支出の管理ができます。おまけにポイントが付き、お得度が高いなどメリットも多いのは確かです。しかし、たびたび支払いが滞る小畑家については利用をお勧めできません。支払いが遅れたら利用停止になるだけでなく、度重なれば信用がなくなり、金融機関からの借り入れが難しくなります。さらに付け加えると、他に携帯電話の分割支払いの滞納も同様ですのでご注意くださいね。

家計の収支をコントロールでき、支払いを滞納しなくなってから利用を考えましょう。

貯める仕組みの具体的方法

貯金10万円と、生活防衛費が心許ない小畑家では、余ったお金を“即投資”というわけにはいきません。まず、貯める流れを作ります。

給料日に口座にお金が入ったら……

1.給与振込口座は16万円になるよう引き出す
16万円とは、住居費6万円、水道光熱費3万円、通信費2万円、生命保険料0.5万円、自動車保険1万円※1、教育費3万円※1の合計15.5万円
※1 自動車保険2万円のうち1万円、教育費5万円のうち2万円は妻負担分のため。

2.引き出したお金は、小畑さんのお小遣いやガソリン代2万円を手もとに残す以外、別の預金口座(貯蓄用)へ 

翌月も給与振込の口座残高を16万円にリセットし、同様にします。つまり、給与振込口座を引き落とし口座と兼用にし、もう1つ預金口座を持ち、2つを使い分けるのです。引き落とし口座の16万円は支出金額の万単位の丸めた数字のため、毎月数千円の端数が生まれ、それも貯まっていくというわけです。

こうしながら少なくとも3カ月は無収入で暮らせるだけのお金(生活防衛費)を作りましょう。