次の焦点は、利上げ回数とバランスシートの縮小時期

今後の焦点は、利上げの実施回数と、さらに次の段階となるバランスシート縮小の時期だ。利上げの実施回数について市場関係者による予測では、実施回数にもばらつきが見られる。ただ当初の見通しよりは回数を増やす傾向にある。バンク・オブ・アメリカは2022年に7回の利上げを段階的に実行するとの予測を発表している。

利上げに続くバランスシートの縮小に関してだが、1月のFOMCでは手がかりをつかむことが難しかった。バランスシートとは貸借対照表をいい、財務状態を表す。金融緩和で市中に資金を大量に供給した結果、バランスシートは膨張しており、通常の状態に戻す必要がある。それがいわゆるバランスシートの縮小となる。次回3月のFOMCでは、バランスシートをどのように縮小していくかといった詳細が発表されるのではないかと予想される。バランスシート縮小の時期も定まっていないが、こちらもテーパリングや利上げ開始同様に想定よりも早期に始まると思われる。

1月のFOMCをうけて、想定よりも米金融政策の引き締めペースが速まるとの懸念からFOMC明け27日の日経平均株価は前日比で800円以上値を下げた。3月のFOMCでも市場予想と決定内容に乖離(かいり)があれば、株式市場や為替市場での波乱が起こる可能性もある。

またウクライナ情勢の緊迫化をうけて、投資家心理も一段と悪化している。欧州では天然ガスや原油などのエネルギー資源をロシアからの輸入に依存している。ロシアからのエネルギー供給が縮小されたり停止されたりする事態が発生すれば、世界的に商品価格が上昇するのと同時に、欧州経済への影響も大きくなるだろう。ロシアに対する欧州や米国の経済制裁発動は避けられない状況にあり、地政学リスクが高まっている。FRBのタカ派化姿勢の強まりや米金利上昇局面で、2022年に入って株式市場は、将来の株価上昇が期待できそうなグロース株から、実際の企業価値よりも株価が割安なバリュー株へのシフトが進んでいる。

執筆/招福亭たぬき

金融、経済ライター。マクロ経済や金融全般の執筆に定評がある。仕事を通じ金融の面白さに気づき、日々勉強中。最近ではつみたてNISAやiDeCoなど自身の資産形成にも関心を広げている。将来、活動の軸をYouTubeやInstagramに移し、いつかFIREを実現したい…と夢見る