遺族を支える生命保険機能も!

家族が亡くなった場合の経済的損失をカバーするために、生命保険に入る人は多いですが、残念なことに万が一の時に国からいくら遺族年金が支給されるのか確かめる人はあまりいません。遺族年金は、いわば国からの生命保険であるにもかかわらず、です。

例えば国民年金から支給される遺族基礎年金は18歳までの子を支えるための保障です。該当する子どもの数によって、年金額が決まります。例えば子どもが一人であれば、遺族基礎年金は年額約100万円、二人であれば年額約120万円です。3歳と0歳の子どもを残して父親が亡くなると、母親はその子どもたちが18歳になるまで合計2100万円程の年金を受給します。

もちろんここでも保険ですから、亡くなった方が適切に保険料を納めていることが条件です。例えば35歳の父親が亡くなった場合、20歳から35歳までの年金に加入しなければならない義務期間において3分の2以上の保険料を納付していることが遺族年金支給の要件です。つまりその間5年以上未納など適切な加入をしていない期間があると、万が一の時に家族に国からの遺族年金が支給されないこともありうるのです(特例で直近の保険料納付要件を満たしていれば支給されるケースもあります)。

遺族基礎年金の他、厚生年金に加入している場合は、遺族厚生年金が受けられます。これは主に配偶者の終身の生活保障として支給されるもので、特に妻には手厚く、この他にも上乗せで中高齢寡婦加算という特別な手当もあります。

例えば夫が58歳、妻56歳、子供はすでに成人しているとしましょう。遺族基礎年金は18歳までの子どもが対象ですから成人は対象外です。もし夫が厚生年金に加入している、つまり会社員で亡くなれば、妻は一生涯夫が受け取るはずであった老齢厚生年金の75%を終身で受け取ることができます。

仮に夫の老齢厚生年金が120万円であれば、妻が受け取る遺族厚生年金は90万円、ここに中高齢寡婦加算が約60万円加算されますので、年額合計約150万円が受給できる遺族年金となります。

この遺族年金は妻が65歳になると、中高齢寡婦加算が終了し、妻は自分の老齢基礎年金を受給します。その際、妻自身に老齢厚生年金があれば、遺族厚生年金と調整されどちらか多い金額をそれ以降は受け取ることになります。

リタイア後に夫が亡くなると、やはり妻は遺族厚生年金を受け取れます。ただし、リタイアする前に夫が25年以上の年金加入歴を満たしていなければなりません。また妻自身に十分な老齢厚生年金がある場合、遺族厚生年金は受給できません。

共働きの妻が亡くなると、妻がこれまで納めてきた厚生年金から遺族厚生年金が支給されます。本来配偶者である夫が受けるべき遺族厚生年金ですが、夫には55歳以上であることという条件が付いているので、それ未満の夫は遺族厚生年金を受給することができません。その場合、該当する子どもがいれば子どもに受給権が渡りますが、その場合でも18歳になると終了します。

このように公的年金は非常に大きな「保険」としての役割を有しますが、保障額は人それぞれ違う、また働き方や家族構成によって異なる点が難しさです。しかし人生を支える基本となるものですから、それらを踏まえ民間保険や金融資産で不足する部分を補うのだというふうに理解していただくと良いでしょう。

今回はかなり数字などを簡素化してお伝えしましたが、ぜひ機会を見て、年金事務所やFPなどに相談して、ご自身の年金について理解を深められることをお勧めします。

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