“働けない”を支える障害年金

年金には、障害を負った時の保険として障害年金という機能もあります。例えば20歳の学生が交通事故で身体が不自由になったとしましょう。重い障害を負い障害1級の認定を受けると、国民年金から年額約100万円の障害年金が支給されます。仮に障害の状態が一生変わらなければ、一生涯年金が支給されます。

この学生はあなたの息子かも知れない、娘かも知れない。年間100万円で経済的に自立して暮らせるのかというと疑問ですが、少なくとも筆者が親であれば自分が生きているうちはこの年金を貯金し、せめて親亡きあとの生活に充ててと願うのではないかと思います。そう思うと100万円の障害年金は非常にありがたい保険です。

でも、もし事故に遭う前にこの学生が年金保険料を払っていなかったら、あるいは学生納付特例などもせず年金に正しく加入していなければ、障害年金は1円も受けられません。なぜならば、障害年金は「保険」であるため保険料を支払うという義務を果たした人でなければ、「年金給付」という権利を主張することができないからです。公的保険は社会福祉ではなく「社会保険」だという、とても分かりやすい例です。

この障害年金は、身体の障害が対象になる他、内科的な障害や精神の障害も対象です。

障害年金は等級により金額が異なります。1級が最も重い障害で、次に2級、そして3級となります。障害年金の等級は、状態で判断されるので、病名に等級が関連付けられることはありません。一人で動くこともままならない状態だとおおむね1級、日常生活に著しい制約を受ける場合はおおむね2級、労働が著しい制限を受ける状態はおおむね3級が目安とされています。

例えば、精神の障害で労働に就けないという状態であれば、障害年金3級が受けられる可能性があります。ただし3級は厚生年金にしか設定がないので、初診日に厚生年金被保険者であることが条件です。