「FIRE」とはそもそも何か

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字から取った造語で、経済的自立と早期リタイアの意味です。アメリカで始まったムーブメントですが、最近では日本でも目標にして実践する人が増えています。

FIREの目的は、「生活のための労働から解放され、自分のために時間を使う」ことです。一生遊んで暮らせるだけのお金を作ってアーリーリタイアするのではなく、最低限生活できるお金で質素に生活します。FIREでは、投資元本からの運用益を不労所得として生活費に充てます。つまり、不労所得で生活できる目途が立てば、リタイアできるということです。

「FIRE」を実現するには

FIRE実現の目安として、「4%ルール」があります。4%ルールとは、「年間支出の25倍の資産があれば年利4%の運用益で生活していける」という数値目標です。たとえば、月間の生活費が20万円の場合、年間では240万円になります。25倍の6000万円の元手を年利4%で運用すると、資産を取り崩さずに運用益だけで生活できるというわけです。

近藤さんが「FIRE」するなら

「生活のための労働からの解放」と、まさに近藤さんのためにあるようなFIRE。「酒も飲まずたばこも吸わず、お金のかかる趣味もない」という近藤さんには、最低限生活できるお金があれば十分暮らせそうです。しかし、今から不労所得を得るための元手を作るとなると、あと何年かかるでしょうか。そのために、精神を病んでいても仕事を続けなければならないのでしょうか。

実は近藤さんには、すでに6000万円ほどの蓄えがありました。周りの人から「生活に困るだろうから我慢して仕事を続けるように」と諭されても、「6000万円持っている」とは言えなかったのだそうです(知っている人に自分のリアルなお財布事情を明かすのは、憚られるものなのでしょう)。それに、6000万円が早期退職に十分な軍資金になるかの確信もありません。

FIREは可能!しかし「投資」による運用が必須…

先述した目安によれば近藤さんの生活費が月額20万円以内なら、元手の6000万円を年4%で運用できればFIREは実現可能といえます。近藤さんの仕事は、激務の割に高収入ではありません。それでいて6000万円を貯めていたのですから、質素倹約を地で行く生活ぶりだったことがうかがえます。お住まいは持ち家で、住宅ローンも残っていません。ですから、運用の目標が達成できれば生活に困ることはないでしょう。