新たに設立したIFA法人で、ゴールベースの手法の確立へ

一方であかつき証券は、子会社のIFA法人であるジャパンウエルスアドバイザーズ(JWA)を2019年に設立。こちらも順調に預り資産を増やしているというが、その設立の背景を工藤氏は次のように話す。「昨今、GAIAやファイナンシャルスタンダードといった著名なIFA法人が、ゴールベースの手法で成功している姿に注目していました。当社もこれを取り入れたいと考えたのですが、本体での参入は簡単ではない。そこで、まずは子会社をつくって導入することにしたのです。商品ではなくアドバイスを売るという理念のもと、社名もジャパンウエルスアドバイザーズとしました」。

JWAはあかつき証券のほか、SBI証券、マネックス証券とも提携している。営業組織としては2部門あり、1つはあかつき証券のリテール営業員がJWAに出向し、固定給の正社員として働く部門。もう1つは中途採用で業務委託社員を採用している部門だ。

前者では「ゴールベースプランニング」による販売スタイルを徹底。「そのために、キャピタル・アセット・プランニングの『デザイン・ユア・ゴール』というツールを導入し、お客さまのゴールをしっかりヒアリングして提案するというスタイルに取り組んでいます」と工藤氏。業務委託社員による部門をつくった理由については、「最近では証券会社を退職してIFAになろうと思っても、登録されるまでに1年以上かかることが多く、独立してすぐに事業展開できないという事情があります」と説明する。「このような声を多くいただいたことがきっかけとなり、独立が前提の方でも受け入れ、活動してもらう。その後、金融商品仲介業者として登録できれば、今度はあかつき証券の所属IFAとして活躍していただく。要は独立に向けたサポートを行っているという考え方です」。

JWAの正社員部門には、現在、東京、大阪のオフィスに11名が所属し、預り資産は約340億円。業務委託社員部門は昨年4月にスタートしたばかりだが、社員数は21名で預り資産も約100億円という規模にまで拡大している。

「新しいビジネスモデルはトップ自らがコミットし、社員に徹底することが大切だと考えています。そのためゴールベースプランニングの手法についても、私自身がきめ細かく指示を出しています。一方で、当初は収益性が落ちてしまうのも否めないため、一気に方向転換するのではなく、実績を見ながら徐々に移行していくことが重要だと捉えています」(工藤氏)。