iDeCo+(イデコプラス)とは、中小事業主掛金納付制度のニックネームで、300人以下の従業員を抱える会社のみが導入できる特別な「確定拠出年金」です。iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している従業員に対し、会社が老後資金作りの支援策として掛金を上乗せ拠出することが出来るので従業員のモチベーションアップにつながりますし、福利厚生として求人面でも有利に働きます。しかも企業型確定拠出年金のように制度導入や維持に費用がかからないのも特徴です。これまでにない新しいタイプの仕組みに期待が高まります。
実は、嫌われものだった「確定拠出年金」
確定拠出年金が2001年に誕生してから20年となりました。2017年には、個人型は「iDeCo」という親しみやすいニックネームがつき、テレビコマーシャルも放映されました。その加入者は企業型、個人型合わせて1000万人に達しようという勢いで、「税金が得する老後の資産形成の仕組み」と多くの方に認知されてきたようです。しかし誕生当初は、自己責任で資産運用を行うなんて日本人にはなじまない!などと言われ、あまり歓迎されませんでした。
当時筆者は、将来の支給金額を会社が保証する「確定給付型の企業年金」から、従業員自らが運用責任を負う「確定拠出年金」に変更しようとする企業様に呼ばれ、従業員の皆様に制度変更の背景と確定拠出年金の必要性を説明する仕事を何度もお受けしました。
ご存知の方も多いかと思いますが、当時企業年金といえば厚生年金基金が主流で、バブル期の株高で予定利率をはるかに上回る運用ができていたのは過去の話、この頃は運用に失敗し莫大な積立不足に多くの企業が頭を悩ませていました。そこで、白羽の矢が立ったのが確定拠出年金です。企業からすれば、掛金を拠出するだけで将来の受取額は従業員の運用次第となる確定拠出年金は、将来における債務負担という肩の荷を下ろすには格好の制度だったのです。
時には人事部からの要請で、労働組合幹部に制度変更の説明をするという役割を担うこともありました。ご想像の通り、どこの会場もピリピリとした緊張感の中、運用責任をいきなり「負わされた」労働組合側の主張はまるで被害者の会のような雰囲気でした。本当なら厚生年金基金の管理の甘さ等が指摘されるべきなのですが、後釜となってしまった確定拠出年金はとんだとばっちりで、なかなか本来のメリットや優位性が理解されなかったのです。