ネットを活用した仕組みで日本のマス層を動かす
純保有金融資産が3000万円未満のマス層といわれる大きなマーケットを相手にアドバイスを届けていくことは、日本における大きな課題だ。「『ネット+背中を押す』という仕組みをもとに、約4200万世帯ともいわれるマス層を動かさないと、日本の金融や消費は動かないとも感じています」と中村氏は続ける。
また、時折、営業担当者が自分の取扱範囲内だけで提案している現実を目の当たりにすることで、「営業担当者はお客さまの悩みをすべて受け止めて、本当に役立つサービスを行っているのだろうか?」というところにも疑問を感じているそうだ。
だからこそ中村氏はマス層顧客に向けて、ネットを利用した簡単なアドバイスの仕組みと、幅広い商品ラインアップをもとに提案する必要性を痛感しているわけだ。
「お客さまの悩みにもっと簡単便利に寄り添うために、チャットの活用でさまざまな相談を気軽にしてもらい、場合によってはZoom等を使って面談し、商品を提供するまでのプロセスを、自社のリソースで行うことも検討しています。この実現のためには、幅広い商品ラインアップが必要なので、金融サービス仲介業の仕組みが必須となってくるのです。ライフプランに沿ってどこまで相談ニーズに応えられるか? この課題が、金融サービス仲介業なら解決できるのです」。
400Fの強みは、顧客データというファクトをつかんでいること。「ユーザーニーズをしっかり分析し、ファクトをもとに提案することにこだわりながらビジネスを展開して、日本を豊かにしたいと考えています」。中村氏は、マス層に対する金融アドバイスについて強い想いをそう語ってくれた。
「自分自身は、壮大なビジョンを掲げて突き進むというよりも、まずは目の前のことに感謝しながら、一歩一歩進めていくことにこだわりたい。10年先、20年先にこうなりたいとは、あまり考えていません。今はとにかくユーザーにとって、より良いことを手掛け、お客さまに役立つ新しい大きな世界をつくりたい。しかも、それは正しいことでなければならないのです。すべてはお客さまのために、全力で新しいことに向き合って生きていきたいですね」。
400Fの代表取締役社長としても、日本金融サービス仲介業協会の代表理事会長としても、すべて目の前の課題に全力で取り組むという中村氏。日本の金融の世界に、全く新しい顧客目線のサービスを創造してくれるに違いない。