4月29日に米投資信託協会(ICI)が2026年3月の投信市場データを公表しました。1-3月期の株式市場は、日本時間2月28日から始まった米国とイランの紛争を受けて原油価格が急騰したことなどから、インフレや景気への警戒感が強まり、軟調な動きとなりました。米国の主要株価指数では、NYダウ平均株価が3.6%の下落、S&P500指数が4.6%、ナスダック総合指数は7.1%の下落となり、いずれも4四半期ぶりのマイナスを記録しています。日本の投資信託市場では、1-3月期に過去最高の資金流入額を更新しており、日本株や金価格の下落に対して買い向かう個人投資家の強気なスタンスが確認されていますが、米投信市場の資金動向はどのようになったのでしょうか。以下、1-3月期の米ミューチュアルファンドとETFの資金動向を確認していきたいと思います。
長期投資信託からETF への資金シフトは継続
3月末時点の長期投資信託(MMFを除くミューチュアルファンド)の残高は23.0兆ドルと、四半期ベースで過去最高を記録した2025年12月末の23.6兆ドルから減少に転じました。前期比マイナスとなるのは、同じく株式相場が下落に見舞われた2025年1-3月期以来のこととなります。資金流出入を見ると、1-3月期は-1551億ドルと18四半期連続の資金流出となっていますが、株式相場の下落によって利益確定売りが減ったとみられ、資金流出額は6四半期ぶりの小ささとなっています。
一方で、ETFの残高は、3月末時点で13.6兆ドルと2025年12月末の13.4兆ドルから増加し、10四半期連続で過去最高を更新しました。こちらも株式相場下落の影響は受けているものの、好調な資金フローによって残高の増加が続きました。1-3月期のETFの資金フロー(ETFの場合は、Net Issuanceのデータを使用)は+4478億ドルと、2009年1-3月期の金融危機後に小幅なマイナスを記録して以来、17年(68四半期)にわたって資金流入が続いていることになります。図1を見ても、長期投資信託からETFに資金シフトが続いている形となっており、両者の対照的な資金トレンドが確認できます。
債券ETF への資金流入が過去最高に
ここからは、好調な資金流入が続くETFを詳細に見ていきます。1-3月期の資金流入額は2025年10-12月期から減速しているものの、過去2番目の高水準となっています。このうち株式型が+2696億ドルと前四半期の+4023億ドルから減速する一方で、債券型は+1748億ドルと過去最高の資金流入額を更新しています。図2を見ても、資金フローにおける債券ETFの存在感が高まっており、債券ETFの資金流入額は3四半期連続で過去最高を更新しています。1-3月期は株式相場が低迷したという要因もあったとは思いますが、ポートフォリオにおける債券ETFの活用が広がっているといった要因も大きいと思われます。なお、コモディティ型は金ETFの値下がりなどもあり、資金流入額は大きく減速しています。この点は、日本の投信市場における金投資の人気の底堅さとは少し違った動きになっていると言えそうです。
米国株から外国株への資金シフト
最後に、株式ETFのトレンド変化を見るために、米国株式市場に幅広く投資するタイプのETF、セクターやテーマを絞った米国株式ETF、そして外国株式ETFの3タイプに分けた資金フローを確認しましょう。ここでも、米国株式中心だった資金フローに変化が見られており、とりわけ外国株式ETFの存在感が高まっていることがうかがえます。1-3月期の外国株式ETFの資金流入額は+1468億ドルと、米国株式(全体)の+999億ドル、米国株式(セクター/テーマ)の+228億ドルを大きく上回りました。外国株式ETFへの資金流入額はこれまで最高だった2025年10-12月期の+1012億ドルを大きく超えて過去最高を更新しています(図3)。
以上、ETFにおける資産クラス別、株式ETFのタイプ別の資金動向を見ると、拡大を続ける米ETF市場においては引き続き米国株式全体に投資するETFの残高が大きいものの、資金フローの観点では主役が債券ETFと外国株式ETFに移りつつあるようです。とりわけ、株式相場が不調だったこの1-3月期に、その動きが鮮明になったと考えられます。もっともテクノロジー関連の米国株式ETFは1-3月の資金フローも好調だったので、この点では投資家は米テクノロジー株に強気なスタンスを継続していると言えそうです。

