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エクセレントカンパニーに学ぶDCへの取り組み

富士通/富士通企業年金基金の企業型確定拠出年金の取り組み-加入者の関心を高めるセミナー、動画配信の工夫に迫る

【DCエクセレントカンパニー2025優秀賞】

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2025.12.09
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富士通/富士通企業年金基金の企業型確定拠出年金の取り組み-加入者の関心を高めるセミナー、動画配信の工夫に迫る
近年、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出す人的資本経営が注目されている。その観点からも企業年金の一つである企業型確定拠出年金(DC)制度の充実は、従業員の活躍やエンゲージメントを高める一因として企業価値の向上に資することが期待されている。企業型DC制度運営に熱心な企業はどのような取り組みを行い、そしてどんな成果を実現しているのか。DC制度運営に秀でた企業に贈られる「2025年DCエクセレントカンパニー」継続教育部門において優秀賞に輝いた富士通/富士通企業年金基金の取り組みを紹介する。


加入者自身が運用を行う企業型確定拠出年金(DC)において多くの導入企業が直面している課題が無関心層への対策だ。富士通企業年金基金では趣向を凝らしたセミナーで無関心層の新規申込者数を約50%増やすなどの成果を挙げているが、その秘訣は「小さな工夫の積み重ね」にあるという。継続投資教育に大きな成果をもたらすその要諦を富士通企業年金基金 DC運営管理部 担当部長 濱中昇一郎氏、DC運営管理課長 兼 財政課長 深澤太雅氏に聞いた。

加入者の多層化に対応しセミナーを再編

DC導入は2014年10月と比較的後発であり、当基金が代表事業主と自社運営管理機関を兼ねています。そのもとに二次運管となる外部の運営管理機関3社を配し、加入者が任意で選択できる仕組みを構築。現在はグループ連結対象外等を含む47事業所、約5万人の加入者を抱える規模となっています。

退職給付制度はグループ各社により異なりますが、富士通においては1999年4月以降入社の社員はDCと確定給付企業年金(DB)の併用、給付割合はDB約70%、DC約30%。それ以前に入社した社員はDB100%です。基金の運営体制は職員約30名のうち、DC運営グループはDBとの兼務を含め5名、DC専任は2名。そのほか社内セミナー講師や個別相談を受け持つ担当者が年金相談室に10名。富士通本社との連携については人事部門と週に一度の定例会議を設けています。

図1 複数運管スキーム

出所:富士通企業年金基金
 

DC加入者の継続投資教育における課題は資産形成への関心度の二極化です。制度開始から10年以上が経過し、当初20代から30代が中心だった年齢構成は40代後半がボリュームゾーンとなっています。

資産形成に関心が高い社員は自ら知識や経験を積み重ねていますが、関心の低い社員との間で長期的な運用成果に差が生じる懸念が浮上してきました。こうした課題を踏まえ、継続投資教育の核となるセミナーについて2023年度から「通年化・年代別・リテラシー別」の3つの観点で再編しています。

通年化に関しては、以前は11〜2月の繁忙期に開催していたのですが、年間を通じて満遍なく実施するように変更。時間帯も日中と夕方(所定就業時間後)の2パターン用意し、参加者の利便性を高めました。リテラシー別では初級、基礎、応用に分け、それぞれに即した内容で複数の講義を設けています。

切り口を変えた資産運用セミナーとパスワード再発行キャンペーン

最大の課題である無関心層へのアプローチにもセミナーを活用しています。従来とは異なる「AIと資産運用」というテーマで開催した回では当社の事業内容から興味を持つ加入者が多いと見込みました。

そのため上層部を説得して外部の専門家に講師を依頼。結果、申込者959名のうち過去に参加経験のない新規層が462名(約50%)を占め、無関心層の掘り起こしに一定の効果がありました。

もう1つの施策が若年層に向けた「パスワード再発行キャンペーン」です。自発的な投資行動への第一歩は加入者Webサイトへのログインですが、そもそもパスワードを忘れて入れない加入者が一定数いることを危惧していました。

そこで基金が加入者に代わって記録関連運営管理機関へ代理申請することで希望者にパスワードを再発行する手続きをスキーム化。30歳未満の加入者を対象に「パスワード再発行キャンペーン」として案内メールを送付したところ256名の申し込みがありました。

セミナー申込率が2.73倍増、1.81倍増と2年連続で大幅な伸びを記録

意外に思われるかもしれませんが、こうした「小さな工夫の積み重ね」が継続投資教育における成果に貢献しています。近年のセミナー申込率は2023年度が対前年度比2.73倍増、2024年度も同1.81倍増と飛躍的に向上していますが、その一因でもあります。

代表例が申込プロセスの簡略化です。従来、申し込みは基金のWebサイトにログインしないとできない仕組みでしたが、案内メールの文面に申込ページへのリンクを記載することでIDやパスワードの入力なしで申し込めるように改善しました。

もう1つが「案内メールの差出人を組織名から個人名に変更する」というシンプルな施策。当社では個人メールアドレスから送信すると、送信者の顔画像や氏名、所属が表示されます。そのため「この人から送られてきた」と認知されることでメールの開封率が向上。

この2つの施策の実施後、セミナー申込者数は3,178人増加しました。ほかにもセミナー申込後に自動的に申込者のメールソフトのスケジューラーに予定が入るように設定するなどの小さな工夫が参加率向上に結び付いています。

動画視聴回数を月数十件から5,000件超へ改善した工夫

同様に動画提供でもID・パスワード入力のハードルを下げて加入者の利便性を図りました。こちらも従来は基金のWebサイトにログインしないとアクセスができない仕組みです。そのため別途、グループのネットワーク内にログイン不要でアクセスできるサイトを新たに作成。導入する投資信託の商品説明のショート動画を用意し、忙しい社員にも家族とも一緒に短時間で商品概要を理解してもらえるよう工夫しました。

配分変更やスイッチングなどの手続きを分かりやすく説明した動画も作成し、運用商品見直しのタイミングに合わせてメルマガをタイムリーに通知したところ、月間数十件だった視聴回数が一気に5,000件を超える大きな成果につながりました。このように「いつでも・どこでも・だれとでも」をキーワードに加入者の利便性を高める施策を展開しています。

課題としては若年層の参加率向上です。無関心層へのアプローチについてもマス向けだけでなく、より絞り込んだターゲットに響くテーマのセミナーを数多く提供していく必要があると考えています。

DC制度担当者の皆さまには「相談できる仲間を作ろう」と伝えたいですね。同じ悩みを持つ社外の仲間とつながり、お互いの経験を共有することで新しいヒントが得られるのではないでしょうか。

 
富士通企業年金基金 DC運営管理部 担当部長 濱中昇一郎氏(左)
 

会社概要 本社:神奈川県川崎市 業種:電気機器 加入者数:50,052名

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