finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
永田町・霞が関ウォッチャーのひとり言

【文月つむぎ】iDeCoがんばれ、NISAに負けるな! 
現状打破へ「7つの提言」

2025.09.22
会員限定
【文月つむぎ】iDeCoがんばれ、NISAに負けるな! <br />現状打破へ「7つの提言」

個人の資産形成を後押しする税制優遇策としてはNISAとともにiDeCoがあるが、iDeCoの加入者数は 371万人(令和7年7月時点)に留まっており、NISA(2,647万口座。令和7年3月末)に大きく水をあけられている。

こうした中、2025年6月に成立した年金制度改正法では、さらなるiDeCo活用策として、掛金拠出限度額の引上げ(第1号被保険者(自営業者など)が月7.5万円、第2号被保険者(会社員・公務員など)が月6.2万円に引き上げられる予定)や加入可能年齢の引上げ(70歳未満の老齢基礎年金やiDeCo老齢給付金を受給していない人はiDeCoの加入・継続拠出が可能となる予定)が盛り込まれた。

こうした拠出限度額や加入可能年齢の改定により、ある程度の加入者増が見込まれるだろうが、NISA並みに、多くの国民にiDeCoを活用してもらうには、より多角的な視点で施策を考える必要があるように思う。

以下、現行制度の課題を踏まえつつ、筆者なりにいくつか施策案を提示してみたい。

提言1:加入対象者の拡大と柔軟な拠出制度の導入

現状、iDeCoへの加入は任意となっている。また、加入を希望しても、企業型確定拠出年金(DC)を導入している会社において、マッチング拠出を行っている場合はiDeCoへ加入できないといった制約がある。そのほか、拠出金額の変更が年1回など、制度が柔軟性に欠けている。

【具体策】

① 原則、全勤労者のiDeCo加入

・企業年金(確定給付企業年金、確定拠出年金)の有無にかかわらず、新規採用者を対象に「雇用時自動加入(opt-out方式)」を導入する(従業員は自ら明示的に辞退しない限り加入)。

・中小企業に対するiDeCo導入支援を強化し、企業型DCの導入が難しい企業でもiDeCoを従業員に推奨・支援するインセンティブを付与する。

②拠出金額の「月次変更」の容認

・家計の状況に応じて、毎月の拠出金額を柔軟に変更できるようにする。これにより、急な出費や収入減にも対応しやすくし、拠出継続のハードルを下げる。

③最低拠出額の撤廃または大幅な引き下げ

・現状の月額5,000円という最低拠出額を撤廃する、もしくは、月額1,000円程度に引き下げることにより、少額からでも始めやすくし、若年層や低所得者層の参入を促進する。

提言2:税制優遇措置の抜本的強化と簡素化

現状、所得控除のメリットが所得税・住民税に限定され、恩恵が分かりにくい。また、拠出時、運用時、受取時の税制優遇があり、複雑化している。

【具体策】

①拠出額に対する「所得控除」から「税額控除」への移行

・所得控除では所得が高い人ほどメリットが大きくなるところ、税額控除(拠出額の一定割合(例:20%)を所得税額から直接控除するなど)にすることで、所得の多寡にかかわらず一定の税制優遇を享受できるようにする。

②受取時の課税優遇のさらなる拡充

・退職所得控除や公的年金等控除の枠をさらに拡充し、受取時の税負担を実質的にゼロに近づける。特に、年金形式での受取を推奨するための優遇措置を強化する。

提言3:iDeCo運用の選択肢の拡充と情報提供の強化

現状、投資初心者が商品選択に迷わないように運用商品の提供数が35本に制限されているが、それでも商品選定に悩む投資初心者が少なくない。他方で、iDeCo加入者の属性(年齢、投資経験、リスク許容度、資産形成目標など)が多様化しており、現状の35本という上限では、全てのニーズをカバーしきれない可能性がある。

【具体策】

①「iDeCo推奨ファンド」の選定と提供義務付け

・金融庁が、長期・積立・分散投資に適した低コストのインデックスファンド等を「iDeCo推奨ファンド」として選定し、全てのiDeCo取扱金融機関にその提供を義務付ける。これにより、どの金融機関を選んでも一定水準以上の商品にアクセスできるようにし、商品選択のハードルを下げる。

②「デフォルト・ポートフォリオ」の導入と自動運用プランの提供

・投資経験のない加入者向けに、年齢やリスク許容度に応じた「デフォルト・ポートフォリオ」を設定し、加入時に自動的にそのポートフォリオで運用が開始される選択肢を提供する。これにより、商品の選び方が分からないという理由でiDeCo加入を躊躇する層を減らす。

③運用商品の提供数の大幅増(もしくは撤廃)

・商品提供数を増やし、国内外の新しい投資手法や資産クラスを踏まえた商品を対象に加えることにより、各加入者が自身の投資目標やリスク許容度により合致したポートフォリオを構築しやすくする。

④ iDeCo専用ポータルサイトの構築と情報提供の強化

・国民年金基金連合会が主導し、iDeCoに関するあらゆる情報を集約したポータルサイトを構築し、加入方法、金融機関比較、商品情報、運用シミュレーション、税制メリットの具体的な計算例などを分かりやすく提供する。

・専門家によるオンラインセミナーやQ&Aセッションを定期的に開催し、国民のリテラシー向上を支援する。

提言4:手続きのデジタル化

現状、口座開設時や加入者情報変更時、給付金受取時などは、各管理機関に対し書面による届け出が必要であり、手続きも煩雑となっている。

【具体策】

①マイナンバー・マイポータル連携によるオンライン申請の促進

・オンライン化することで、自宅や外出先から手軽に手続きできるようし、加入へのハードルを下げ、継続しやすくする。

・特に、住所変更や転職時の企業型DCからの移換など、手続きが煩雑に感じられる部分を簡素化することで、手続き漏れや遅延のリスクを減らす。

提言5:制度の簡素化とコスト軽減

現状、iDeCoは、制度主体である国民年金基金連合会(国基連)のほか、運営管理機関、資産管理機関、レコードキーパー、商品提供機関など多くの組織体が関わる複雑な制度となっている。その複雑さゆえに事務コストやシステムコストが大きくなり、結果として利用者が支払う手数料が高くなりがちである。

【具体策】

① 役割分担の見直し

・各機関に共通のプラットフォームを導入するほか、一部の事務作業の一元化・集約化などを促進する。

・特に、国民年金基金連合会が担う役割と、運営管理機関が担う役割について、重複や非効率な部分がないか見直し、効率化・簡素化を図る。

②デジタル技術の活用

・AIを導入し、事務手続きの自動化を進めることで、人件費などのコスト削減を図る。

・ブロックチェーン技術などを活用した、よりセキュアで効率的なデータ管理システムの構築を検討する。

③手数料体系の透明化・簡素化

・各機関が徴収する手数料の妥当性を検証し、よりシンプルな手数料体系へ見直すとともに、情報開示を進める。

提言6:企業によるiDeCo導入・活用支援の促進

現状、企業型DCの導入が進まない中小企業が多く、また、従業員へのiDeCoに関する情報提供や教育が不足している。

【具体策】

①中小企業向け「iDeCo導入支援補助金」の創設

・中小企業が従業員のiDeCo加入を支援するための福利厚生制度を導入する際にかかる費用(事務手数料、従業員向け説明会費用など)に対して、国が補助金を支給する。

②企業内研修への「iDeCo講座」設置の義務付け

・一定規模以上の企業に対し、従業員向けにiDeCoに関する基礎知識や活用方法を学ぶ機会(社内研修、外部講師招聘など)を設けることを義務付ける。

 

提言7:iDeCoと他の資産形成制度との連携強化

現状、NISAとiDeCoが併存しており、制度が複雑なうえに、制度間の連携が不十分となっている。

【具体策】

①  iDeCoとNISAの連携を強化

・例えば、iDeCoに一定額以上拠出した場合、NISAの非課税投資枠を上乗せするなど、双方の活用を促すインセンティブを導入する。

 

 

これらを実現するには、各種法改正や税制改正、予算手当、システム対応、事務フローの大幅な変更などが必要となるため、国会や業界において長い時間をかけて議論を重ね、合意形成に努めることが求められる。現状の衆参ともに少数与党という不安定な政権下では、国会内で議論を始めることすら難しいのかもしれない。また、業界においても関係者が多岐に渡ることより、方向性を定めるのは容易ではないだろう。

だが、一つでも二つでも実現すれば、若年層や低所得者層の加入が促進し、国民全体の資産形成意識が高まることにより、個人の自助努力による資産形成が加速、公的年金制度の持続可能性への不安が軽減されるのではないかと期待している。

個人の資産形成を後押しする税制優遇策としてはNISAとともにiDeCoがあるが、iDeCoの加入者数は 371万人(令和7年7月時点)に留まっており、NISA(2,647万口座。令和7年3月末)に大きく水をあけられている。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #法律・制度
前の記事
【文月つむぎ】NISA拡充策の議論が本格化、押さえておきたい3つのポイント
2025.09.12
次の記事
【文月つむぎ】日証協の「個人投資家意識調査」を熟読すべし 新規投資家層の早期失望に備えよ
2025.10.06

この連載の記事一覧

永田町・霞が関ウォッチャーのひとり言

金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換

2026.06.17

NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計

2026.05.28

データが映すインデックス時代のアクティブ再考ーー「安さ」だけでは、人は持ち続けない

2026.04.24

金融経済教育が定着しない本当の理由――後回しにされないための「行動に繋がる接触設計」を考える

2026.04.16

こどもNISAと「NISA貧乏」――「投資枠」ではなく「初動率」をいかに上げるか

2026.04.03

「働けば報われる」のその先へ―― 給付付き税額控除と寄附制度が開く「資本循環国家」への道

2026.02.18

プルデンシャル生命の組織に潜む歪み――彼らは「月のウサギ」を見上げなかったのか

2026.02.12

目先の配当か、未来の土壌か――国家を再設計するという選択

2026.02.04

中道改革連合「ジャパン・ファンド構想」の見過ごせないリスクと、実現に向けた論点

2026.01.29

家計・企業・国家のリスクテイクを支える “国債消化策の基礎工事”を真剣に考える

2026.01.14

おすすめの記事

【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉝
パフォーマンスと高成長を背景に新興国株式ファンドに資金流入の兆し

藤原 延介

【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり

上野 武昭

政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ

川辺 和将

ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で「日経225」と「NASDAQ100」が人気、貯金金利の引き上げで投信の売れ筋に変化?

finasee Pro 編集部

常陽銀行の売れ筋で「日経225ノーロード」がトップに再浮上、「リスクオン」でバランスファンドより株式ファンドに軸足

finasee Pro 編集部

アクセスランキング

24時間
週間
月間
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉝
パフォーマンスと高成長を背景に新興国株式ファンドに資金流入の兆し
政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ
「支店長! 接客について、先輩方のように自信が持てません。どうしたら自信が持てるようになりますか」
金利ある世界で、金融機関は何を支えるのか――資産運用立国の提言と国会質疑から見える「全体設計」への転換
【プロが解説】人口減のなか注目される私鉄各社の貢献――駅を起点に人を呼び込み、沿線価値を高めるまちづくり
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
景気サイクル終盤のクレジットファンド選定
【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からは「キャピタル」、「フィデリティ」、「アライアンス・バーンスタイン」の米系3社が盤石の高評価/IFA法人編
福岡銀行で「半導体」人気が爆発、「日本株」や「純金」の人気は後退
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
仕組商品のリスクは「複雑かつ複合的」なのか?
政府が「地域金融力強化プラン」をブレークダウンした都道府県別“新プラン”を策定へ
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋で「日経225」と「NASDAQ100」が人気、貯金金利の引き上げで投信の売れ筋に変化?
SBI証券で「半導体」に強気、日米の半導体インデックスファンドが売れ筋ランクアップ
常陽銀行の売れ筋で「日経225ノーロード」がトップに再浮上、「リスクオン」でバランスファンドより株式ファンドに軸足
福岡銀行で「半導体」人気が爆発、「日本株」や「純金」の人気は後退
中国銀行で一極集中型の「パワーテクノロジー株式」「世界半導体関連フォーカス」が人気化
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
「体制」から「態勢」へ、改正保険業法に見る金融庁の着眼点の変化
2026年3月期の地銀・第二地銀「預り資産取扱い動向」を読み解く
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
「支店長! 接客について、先輩方のように自信が持てません。どうしたら自信が持てるようになりますか」
ファンドアナリスト篠田 尚子が2026年第1四半期を振り返る~投資信託の今と、これから
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【バランスファンド編】
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第19回:デジタル化の否応なしの進展が中核市の人口流出を加速させる?
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら