finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
運用会社ブランドインテグレーション評価2024結果発表

【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2025.03.04
会員限定
【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編
 
 

販売会社の投信担当者が選ぶ優れた運用会社(ブランドインテグレーション評価)ゆうちょ銀行・郵便局の全国調査で2024年に総合的に最も高い評価を得たのは野村アセットマネジメントだった。第2位は運用力が評価されてセゾン投信になった。ゆうちょ銀行・郵便局が運用会社を評価する6つの軸(「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「識別力」「ガバナンス」)の中で、もっとも重視しているのは「運用力」だ。それに次ぐのが「営業担当者・研修担当者の質」で、第3位以下が「サポート力」「商品開発力・企画力」「識別力」「ガバナンス」になっている。

野村アセットマネジメントは、「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「ガバナンス」の3項目でトップの評価を得て、他を圧倒する支持を集めた。セゾン投信は「運用力」「識別力」の2項目でトップに評価された。第3位は三菱UFJアセットマネジメント、第4位に「商品開発力・企画力」で評価された日興アセットマネジメントが入った。

評価されるセゾン投信の「運用力」とは?

「運用力」で高く評価されたセゾン投信は、「セゾン・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」をゆうちょ銀行に提供している。いずれもアクティブファンドながらNISA「つみたて投資枠」の対象ファンドだ。NISA「成長投資枠」を使って投資する際はネットの「ゆうちょダイレクト」から申し込みが必要になる。この2本のファンドは、安定的な運用成績を残していることが特徴だ。中でも、「セゾン・グローバルバランスファンド」は2025年1月末時点で1年のリターンが13.87%、3年(年率)12.29%、5年(年率)11.20%だが、これはゆうちょ銀行が取り扱う「バランス」に分類されるファンド38本の中で、1年のリターンではトップの運用成績、3年では第3位、5年では第3位という成績になる。この優れた運用実績がセゾン投信の運用力として評価されているのだろう。5年にわたってコンスタントに10%超のリターンを出している安定感が評価されているものと考えられる。

「運用力」で第2位に評価される野村アセットマネジメントは、ゆうちょ銀行に提供する「野村世界6資産分散投信(成長コース)」が「バランス」の分類で5年(年率)と3年(年率)で運用成績がトップ、1年で第2位となっている。同ファンドはNISA「成長投資枠」の対象ファンドだ。リスク・リターンの水準でみても「セゾン・グローバルバランスファンド」と同程度のリスクをとりながら、より高いリターンを残している。今回「運用力」で評価されている2社のバランスファンドは、ゆうちょ銀行が取り扱う「バランス」に分類されるファンドの中で、最も高いリスクをとるファンドになったが、そのリスクに見合って最も高いリターンをあげている。

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋は、インデックスファンドとバランスファンドに二分されている。「運用力」が期待されるのは「バランス」に分類されるファンド群といえる。その「バランス」の中で最も高いリターンを継続的に出しているファンドを運用している2社が「運用力」で高く評価された。

「人材」と「サポート力」の源泉は?

「営業担当者・研修担当者の質」と「サポート力」で高く評価されているのは、両項目でトップの野村アセットマネジメントと、両項目で第2位の日興アセットマネジメントだ。

ゆうちょ銀行の取り扱いファンド123本を運用会社別にみると、トップは三菱UFJアセットマネジメントの26本だが、このうち12本はシンプルなインデックスファンドになっている。これに次いで多くのファンドが採用されているのが野村アセットマネジメントの23本になる。その中心はバランス型ファンドとターゲットイヤー型のファンドになる。野村アセットマネジメントがゆうちょ銀行・郵便局でサポートに力を入れているのは、それだけ多くのファンドが採用され、長期に運用を継続してもらうことによって成果が得られるファンドが中心なので、自然とゆうちょ銀行・郵便局に対するサポートにも力が入っているのだと考えられる。

日興アセットマネジメントは10本のファンドが採用され、この本数は14本のアセットマネジメントOneに次ぐ4番目に多い本数で、大和アセットマネジメントの10本と同数だ。人材の力に加えて「サポート力」で高く評価されるのは、やはり多くの商品を採用されている運用会社になっている。日興アセットマネジメントは対面販売商品は2本だが、当時から現在に至る手厚いフォローも評価につながっている可能性もある。この中で、2本のファンドしか採用されていないセゾン投信が「営業担当者・研修担当者の質」で第3位と「サポート力」で第4位に評価されている点は特筆すべきだろう。

「商品力」で幅広い投資家ニーズに応える

「商品開発力・企画力」では日興アセットマネジメントがトップになった。第2位はアセットマネジメントOne、第3位は大和アセットマネジメントだった。

日興アセットマネジメントは「スマート・ファイブ」や「全世界超分散株式ファンド」といった他の運用会社にない商品をゆうちょ銀行に提供している。「スマート・ファイブ」は、債券や株式、リート(不動産投信)、ゴールドに投資してインカム収益の確保と中長期的な値上がり益の獲得をめざすファンドだ。インカム収益を獲得するために株式やリートを活用し、中長期の値上がり益の獲得を目指すためにインカム収益のないゴールドを組み入れているのがユニークだ。しかも、そのゴールドの価格はここ数年はずっと上昇し、過去最高値を更新している。また、「全世界超分散株式ファンド」は世界の上場株式約5万5000銘柄(重複上場含む)のうち約1万4000銘柄に幅広く分散投資するファンドだ。従来のインデックスファンドは新興国を含む全世界株式ファンドでさえ大型株を中心に2600銘柄程度に投資しているに過ぎなかった。1万銘柄を超える組み入れ銘柄数は異常に数が多い。このことによって、従来のインデックスファンドでは投資ができていなかった中小型株にも投資することが可能になっている。

アセットマネジメントOneは、基準価額の変動リスクを年率2%程度に抑えながら安定的な運用をめざす「リスク抑制世界8資産バランスファンド」や中長期的な目標リターン年率4%をめざす「Oneターゲットリターン・ファンド(4%コース)」、「世界株配当収益追求ファンド(価格変動抑制型)」などリスクを抑えた工夫のあるファンドを提供している。

日興アセットマネジメントやアセットマネジメントOneが工夫を凝らしたファンドが売れ筋となって大きな資金を集めているというわけではない。ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋は、オーソドックスなバランスファンドかインデックスファンドなのだが、さまざまな工夫のあるファンドがラインナップにあることによって投資を始めたばかりの人から、次のステップに進もうと考えている投資家まで多くの人々のニーズに応えることができるようになっている。「商品開発力・企画力」で高く評価されている運用会社は、総合順位でも上位にランクされている。

なお、「識別力」ではセゾン投信がトップ。「ガバナンス」では野村アセットマネジメントがトップだった。

全国津々浦々のネットワークの魅力

ゆうちょ銀行・郵便局の評価する運用会社ランキングで特徴的なのは、SBIアセットマネジメントやなかのアセットマネジメント、楽天投信投資顧問など、ゆうちょ銀行の取り扱いファンドに商品が入っていない運用会社が個々の評価項目でトップ10の中に食い込んできていることだ。ゆうちょ銀行が採用しているファンドの運用会社は20社になる。商品が採用されていれば、運用報告会や販売研修などでゆうちょ銀行や郵便局に担当者が訪れるなど何らかの接点を持つことがあるだろう。その20社だけでトップ10を争うということが通常に考えられる姿だが、ファンドを採用されてもいないのにゆうちょ銀行や郵便局の投信担当者の意識に残るというのは相当のインパクトを残しているということだろう。

同じように、キャピタル・インターナショナル、J.P.モルガン・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなどの外資系運用会社は、ゆうちょ銀行に1本しかファンドが採用されていないにもかかわらず、各調査項目でトップ10に食い込んだり、キャピタル・インターナショナルは総合評価でも第8位にランクインしている。これら外資系の運用会社もゆうちょ銀行・郵便局に積極的に情報発信や研修等のサポートに注力しているのだろうことがうかがえる。

ゆうちょ銀行・郵便局は、全国津々浦々に拠点網を張り巡らせる国内で唯一無二の存在だ。メガバンクや大手証券は全国をカバーしているとはいえ、東名阪の3大都市圏以外では県庁所在地に支店があるくらいで、ゆうちょ銀行・郵便局のネットワークには及ばない。しかも、オーソドックスに長期・分散・積立投資を販売姿勢で徹底している。これは、ゆうちょ銀行の売れ筋ファンドがインデックスファンドとバランスファンドで占められていることからもよくわかる。オーソドックスな長期・分散・積立投資の投資家にファンドを購入してもらうことこそが、運用会社にとってはファンドの長期成長につながる大きな魅力を感じるだろう。引き続き、運用会社はゆうちょ銀行・郵便局での評価をあげようと激しい競争が行われ続けると考えられる。

 

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
次のページ 「郵便局・ゆうちょ銀行編」1位野村アセットマネジメントからのメッセージ
1 2

関連キーワード

  • #運用会社
前の記事
【運用会社ランキングVol.3】地銀・第二地銀・証券会社、本部・支店それぞれで分かれる結果、支持を左右する要因は?/販売会社一般編②
2025.02.25
次の記事
【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編
2025.03.11

この連載の記事一覧

運用会社ブランドインテグレーション評価2024結果発表

【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編

2025.03.11

【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編

2025.03.04

【運用会社ランキングVol.3】地銀・第二地銀・証券会社、本部・支店それぞれで分かれる結果、支持を左右する要因は?/販売会社一般編②

2025.02.25

【運用会社ランキングVol.2】銀行・証券会社からの評価は? トップは日興アセットマネジメント、フィデリティ投信は運用力で高評価/販売会社一般編①

2025.02.25

【運用会社ランキングVol.1】運用力、サポート力、担当者の質……販売会社は運用会社を何を一番重視している? 2024年の評価を発表!

2025.02.25

おすすめの記事

【新NISA対象】ブラックロックから「iシェアーズ S&P500 トップ20 ETF」「iシェアーズ ゴールド ETF」が上場! 個人投資家にとっての魅力は…

Finasee編集部

ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”

Finasee編集部

常陽銀行にみる株式ファンドへの逡巡、「相互関税」と「中東緊張」で様子見の中を上値に進むファンドは?

finasee Pro 編集部

アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上

finasee Pro 編集部

福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化

finasee Pro 編集部

「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」

森脇 ゆき

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
ターゲットは“デジタル富裕層”―SMBCグループとSBIグループの新会社設立により「Olive」に新たな“プレミアムクラス”
常陽銀行にみる株式ファンドへの逡巡、「相互関税」と「中東緊張」で様子見の中を上値に進むファンドは?
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
三菱UFJ銀行の売れ筋で「日経225」の評価に変化、新規にトップ10入りしたファンドの特徴は?
金融庁が「プログレスレポート2024」の公表を休止した深いワケ 「FDレポート」との違いが出せなくなった?
【みさき透】視界不良の「プラチナNISA」、意外に響くネットの評判 
福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
三菱UFJ銀行の売れ筋で「日経225」の評価に変化、新規にトップ10入りしたファンドの特徴は?
アクティブファンド復権!? 中国銀行で株式アクティブへの期待高まる。「ROBO」と「純金」の評価も向上
年金を含む資産データ「一元化」は夢物語? 自民党「デジタルニッポン2025」の曖昧な書きぶり
みずほ銀行の売れ筋トップ10で「バランス型」3本がランクイン、市場のトレンドは変化するのか?
福岡銀行で「225」人気が衰えた理由は? 「純金」、「USリート」と「世界半導体投資」が人気化
サステナ投資促進策は終わり?「仕分け」の対象になってしまうのか
三井住友銀行の売れ筋で突出したファンドとは? 欧州株の上昇で「MSCIコクサイ」に勢い
【ブルームバーグ寄稿】日本のAI規制関連が急展開 金融セクターにとってはまたとない機会に
外貨関連を軸に多彩なサービスを展開顧客の信頼を勝ち取る「総資産アプローチ」case of SMBC信託銀行
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
【文月つむぎ】投信だけでなく保険販売でもFDを徹底できるか?知っておきたい「保険業法」改正のポイント
【文月つむぎ】「プラチナNISA」という言葉がない!自民党金融調査会の最新提言を読み解く
「支店長! ゴールベースアプローチをすれば、お客さま本位の提案になるということでよいですか?」
浪川攻の一刀両断
手数料自由化とファンドラップから見る日本と米国の証券リテール改革の相違
いわき信組の不正を見抜けなかった金融庁、「根本的な人員不足」も背景
今月スタートした「投資運用関係業務受託業」を金融庁が激推し!金融機関に勤める中堅・若手の有望な移籍先に?
トランプ関税の混乱を横目に「戦略的自律」をめざす欧州企業に可能性、「テンバガー・ハンター・ヨーロッパ」の視点とは?
三菱UFJMS証券の売れ筋にみえる国内株式ファンドへの期待、物価高で苦しむ年金生活者を支えるファンドとは?
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら