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「貯蓄から投資、その先へ」の「先」とは?日証協設置の新組織と直接金融の逆襲

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.04.22
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「貯蓄から投資、その先へ」の「先」とは?日証協設置の新組織と直接金融の逆襲

日本証券業協会は、家計や企業、アセットオーナーに滞留する資金を企業部門へ供給する直接金融の役割強化に向けた対応を議論する新組織として「2040年に向けた我が国金融資本市場のビジョンについての懇談会」を立ち上げました。座長に就任した日比野隆司・協会長の初期がんの治療スケジュールを考慮し、今年夏にも本格始動する予定です。4月16日に行われた定例記者会見では、日比野会長に代わって幹部が設置の狙いを語り、中東情勢やプライベートクレジットの動向にも言及しました。

7月に初会合開催へ

日比野会長の「肝いり」(日証協幹部)で新たに設置された懇談会は、証券会社7社の経営陣、法律や経済の有識者、シンクタンクの研究員ら計20名で構成。6月ごろまでは「基礎調査フェーズ」として、メンバー間の意見交換を軸に資本市場における過去の動向の経緯と今後の展望を整理。7月に予定する第1回会合以降は、2040年に向けて資本市場が目指す「ビジョン」の設定に向けた本格的な議論を行い、来年春を目途に最終的な取りまとめを行う計画を打ち出しています。

背景には、2つの問題意識があります。1つ目は、政府や取引所による市場改革の働きかけの結果として企業による自社株買いなど株主還元の動きが拡大する一方、成長投資の加速度合いが十分でないこと。2つ目は、長年にわたる間接金融への偏りです。

 

足元、自社株買いなどの株主還元が約30兆円規模に上る一方、エクイティファイナンスを通じた直接的な資金調達は約1兆円にとどまります。政府や経済団体が2040年に向け「名目GDP1000兆円」「国内投資200兆円」といった目標を掲げる中、新NISAの普及などにより動き出した「貯蓄から投資へ」の流れを、「その先」にある企業への成長資金供給(その先へ)へと接続するため、特に社債市場などの直接金融が果たすべき役割が今後重要になるとの見方だといいます。

日証協幹部は「直接金融と間接金融は車の両輪であるはずべきだが、間接金融中心で来ていいる。それを1997年頃に反省し、不良債権問題を招来するに至ったのは我が国経済のリスクを全て銀行のバランスシートに乗せるという間接金融偏重の姿があり、それを直していこうという大きな方向感があったと思う。その後、紆余曲折があってなかなか進んできていないが、この時点でもう1回、その骨太な議論をしてみたい」と語りました。

 

中東情勢、PCにも言及

中東情勢について幹部は、「不確実性の高まりは投資家のリスク許容度の低下や、リスクプレミアムの拡大を通じて市場の変動を大きくしやすくする面がある。市場が今回のリスクを評価する過程で、紛争開始前には年内に複数回の利下げすら想定されていた米政策金利の見通しが、一時は利上げも織り込む動きに転じるなど、市場参加者が相当程度のリスクシナリオを意識した場面もあった」と指摘。その上で、「足元ではいろんな動きがあるが、事態改善に向けた動きも見られている状況だと思う。今後については原油価格の動向が実体経済や企業収益にどのように影響しているかについて、経済指標や企業決算などを通じて順次確認されていくことになるかと思う。こうした情報が積み重なることで、市場参加者の見通しも次第に整理され、金融市場の動きも徐々に落ち着きを取り戻していくことが期待される」と述べました。

国内株価指数が一時1日2000円以上の値動きを見せたことについては、「株価の水準自体も上がっている。昔の1000円と比べると、割合でいくと小さい側面もある」と話しました。

 

また、海外市場でプライベートクレジットファンドの解約が相次いでいる状況についての認識を問われると、「現時点で直ちに大きな問題が起きているということでもないと思うが、金融庁なり証券会社とも連携し、よく目配りしていく必要があるかと思っている」と述べました。

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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