finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

米欧アクティブETF市場の動向と日本への示唆
【モーニングスター・ジャパン レポート 2024年5月】

2024.06.14
会員限定
米欧アクティブETF市場の動向と日本への示唆 <br />【モーニングスター・ジャパン レポート 2024年5月】

日本でアクティブ運用型のETF(アクティブETF)の上場が解禁されてから、まもなく1年となる。上場銘柄数や純資産総額は広がりを欠き、今後の発展が期待されている。アクティブETFが活況を呈している米国や欧州の状況は、日本にどのような示唆をもたらすのだろうか。モーニングスター・ジャパン マネジャー・リサーチ部長の元利大輔氏によるレポートを掲載する。

はじめに

日本では2023年にアクティブETFが解禁され、現在11銘柄が東京証券取引所に上場 している。ETFはこれまで指数に連動するパッシブ型が主流であり、「ETFはインデ ックス・ファンドが上場したもの」と捉えている投資家が多いであろう。アクティブETF は、ETFの機能性を有しつつアクティブ運用を行うものであり、日本の投資家の間には、このコンセプトはまだ浸透していないであろう。米国や欧州ではアクティブETFは近年、投資家からの支持を集め存在感を増しつつある。本レポートで は、モーニングスターの米国ならびに欧州のアクティブETFに関するレポートの内容を抄訳しつつ、米国および欧州の発展事例に基づき、日本のアクティブETF市場 への示唆を与えるものである。 

主なポイント

▶米国、欧州ともに2020年代にアクティブETFの市場規模が拡大。特に米国は2019年のSECのETFルール制定以降、純資産総額は5倍以上に拡大。

▶アクティブETFの市場規模は拡大しているものの、ETF全体に占める割合は大きくなく、米国ではETF市場全体の純資産総額の約9%、欧州では約2%のシェア。

▶アクティブETFは当初、債券型が中心となり発展してきてたが、2019年以降は株式型が急拡大している。アクティブのミューチュアル・ファンドは資金フローの面で苦戦しているが、アクティブETFへの資金フローは安定している。

▶税効率、低コスト、透明性、取引の自由度がアクティブETFの特徴であり、特に米国では税効率の良さが市場規模の拡大の主な要因となっている。日本ではETFと一般のファンドに税金面で差異は無いため、税効率の良さを背景とした米国のような市場拡大は期待しづらい。

▶アクティブETFは万能ではなく、運用キャパシティの問題や取引時のビッド・アスク・スプレッドには留意が必要。

▶設定の際のパターンとしては、新規運用戦略の立ち上げ、同一運用戦略のETFへの転用、ETFへの転換、ETFシェアクラスの設定などがある。日本においては、ファミリーファンド方式を活用したETFの設定が可能であり、これは米国におけるETFシェアクラスの設定と同等のメリットをもたらすであろう。

▶非透明型ETFは運用の「秘伝のタレ」を公開しないというメリットが運用会社にはあり、米国で認められているものの、ETFのメリットである透明性を損なうため、投資家から大きな支持を集めてはいない。

▶米国、欧州ともに幅広く分散投資を行いアクティブ・リスクを大きくとらないETFが投資家からの人気を集めている。日本でも配当利回りに着目したり、ストラテジ ック・ベータと同等の投資成果をもたらすようなアクティブETFの設定が当面の主流となるであろう。 

アクティブETFの市場規模

アクティブETFは存在感を増しつつある。米国では2019年の米国でのETFに関する 規制変更後のアクティブETFの伸びは凄まじいものであり、米国アクティブETFの純 資産総額は2019年末の約1,100億ドルから、2024年3月末には5倍以上増え6,000億ドルに到達した。近年の伸び率は目を見張るものであるが、市場規模としてはまだ 小さい。モーニングスターの米国の調査レポートによると、2024年3月末時点で ETF全体の純資産総額に対してアクティブETFの割合は約9%である。

 

 

欧州でも同様に2020年代に入ってから伸びは加速しており、2024年3月末の純資産 総額は365億ドルとなっているが、米国と比べると大きく差が開いている。欧州の レポートによると欧州ETF市場全体の純資産総額に対し、アクティブETFの割合は 約2%であり、米国と比べるとその割合は相当低い。純資産総額の推移をみると、2010年代前半までは現在のように米国と欧州で大きな差は開いてはいなかった。近年の米国におけるアクティブETFの急成長の理由としては、米国特有の事情があると考えることができる。

 

日本では、2023年6月に日本取引所グループ(JPX)が東京証券取引所(東証)におけるアクティブ運用型ETF(アクティブETF)の上場制度を解禁、同年9月に国内初のアクティブETFが6銘柄、新規上場した。2024年3月末時点では11銘柄が上場しており、純資産総額は456億円である。銘柄数、純資産総額ともに非常に少なく、今後の発展が期待されている。

以下、米国を中心にアクティブETFの成長の推移や背景、またアクティブETFの特徴 を整理し、日本市場にもそれらが当てはまるかを述べていく。

 

米欧アクティブETFの発展と背景

アクティブETFは当初、債券型のファンドを中心に発展してきた。米国で最初のア クティブETFと言われている「Bear Sterns Current Yield Fund」が生まれたのは 2008 年であり、その後アクティブETFの発展を先導してきたのはPIMCOである。同社は「Pimco Enhanced Short Maturity Active ETF」を 2009 年に、「Pimco Active Bond ETF」を2012 年に設定し以降2010年代半ばまで、アクティブETF市場のトップランナーであった。2019 年のSECのETFルール(6c-11)による規制変更をきっかけとし、近年では株式型のアクティブETFが急成長している。この規制変更は、ETF設定時にSECから 1940年投資会社法の適用除外を得る必要があった承認プロセスが簡素化され、ETFを市場に投入することが容易になったこと、また(現物株等の)カスタム・バスケットによるETFの設定、解約を認めたことにより税効率が良くなったこと、などアクティブETFにとって大きなメリットをもたらした。また、投資家からの低コスト・ファンドへのニーズの高まり、アクティブ・マネジャーがポートフォリオの透明性を受け入れるようになったことなどもあり、アクティブETFのファンド数は3倍以上に増加した。また、アクティブのミューチュアル・ファンドが近年資金流出に見舞われる中で、アクティブETFへの資金フローも安定しており、投資家からの支持を集めている。

 

欧州でも同様の推移が見られ、アクティブETF市場は2010年代は債券型が中心であ ったが、2020年代には株式型が主流となっており、株式型のアクティブETFの資金 フローは安定して推移している。米国の2019年のETFルールのような規制関連のき っかけは無いものの、米国での発展を受ける形で欧州でもアクティブETFが成長し ており、近年ではRobeco、Blackrock(iShares)、Eurizon Capital、ARK Invest などの運用会社が欧州のアクティブETF市場に参入(または参入を計画)している。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
次のページ アクティブETFの特徴
1 2 3 4 5
前の記事
特別インタビュー 中島淳一・前金融庁長官【前編】
新NISAは「80点」 資産所得倍増プラン決定への道程
2024.05.22
次の記事
NISA概要レポート2024年上半期および第二四半期 NISA以外の投資信託は売れていない?
【モーニングスター・ジャパン レポート】
2024.07.19

おすすめの記事

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「225」がトップ、年末に史上最高値を更新した「S&P500」は2026年にどうなる?

finasee Pro 編集部

11月のトップは「電力革命」、静銀ティーエム証券の売れ筋の変化は新しいスターファンドの胎動か? 

finasee Pro 編集部

滋賀銀行の売れ筋ランキングが様変わり、年末を控えてインデックスファンドからアクティブファンドに流れが変わった?

finasee Pro 編集部

【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに

みさき透

【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」

Finasee編集部

著者情報

この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「225」がトップ、年末に史上最高値を更新した「S&P500」は2026年にどうなる?
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
「遵守か説明か」から「遵守か合併か」に――2026年の地銀政策はどこへ?金融審「地域金融力WG報告書案」を深読み
「支店長! 顧客本位で考えれば、アクティブファンドよりも手数料の安いパッシブファンドを案内すべきではないですか?」
【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」
日本初のハンセンテック指数連動ETFが東証上場―注目浴びる“中国テック株”が投資の選択肢に
「支店長! お客さまへ良い提案をするためのコンサルティング能力はどうやって向上させればいいですか。何に関心を持つべきでしょう」
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(4)バランスファンドのモニタリング① ベンチマークの課題とその解決法
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
11月のトップは「電力革命」、静銀ティーエム証券の売れ筋の変化は新しいスターファンドの胎動か? 
【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに
【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」
常陽銀行の売れ筋で「のむラップ・ファンド」が「ゴールド」や「NASDAQ100」より順位を上げた理由は?
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋で「225」がトップ、年末に史上最高値を更新した「S&P500」は2026年にどうなる?
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
今年の漢字は「熊」ではなく「牛」、26年末は日経平均株価6万円に! 暗号資産ETFが出てくれば…日証協会長が会見で見解
滋賀銀行の売れ筋ランキングが様変わり、年末を控えてインデックスファンドからアクティブファンドに流れが変わった?
中国銀行で売れ筋にみる新しい流れを展望するファンドとは? 「世界厳選株式」や「国内小型株」などが人気
“霞が関文学”で読み解く金融界⑤ 表題は「FDレポート」なのにFDを突き放す当局
経営、本部、販売現場が価値観を共有し「真のコンサルティング営業」の実践へ case of ちゅうぎんフィナンシャルグループ/中国銀行
常陽銀行の売れ筋で「のむラップ・ファンド」が「ゴールド」や「NASDAQ100」より順位を上げた理由は?
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
「支店長! 金利が上昇しているのだから預貯金や円保険で十分です! お客さまにリスクの高い投資商品を提案する必要なんてないですよね?」
【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」
【みさき透】SBI新生銀行の上場で現実味を増す「帝国の野望」――分配・解約資金をグループに還流、金利でも稼ぐモデルに
「AI以外はほぼリセッションに近い」米国経済はAIバブルか? ―強さと弱点から見通す2026年“変わりゆく”世界経済と投資環境
11月のトップは「電力革命」、静銀ティーエム証券の売れ筋の変化は新しいスターファンドの胎動か? 
10年国債利回り2%接近でみずほ銀行の売れ筋に単位型ファンド、利回りニーズをとらえた人気ファンドとは?
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら