11月30日から12月12日までの日程で、COP28(第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議)がアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれる。各国政府やNGO、企業などが⼀堂に会し、新興国の脱炭素を支援する枠組みや生物多様性との関連などをめぐって議論する。
世界最大級の組織・人事コンサルティング会社であるマーサーはCOP28に参加してワークショップを主催し、低炭素社会への移行(トランジション)を後押しする投資ポートフォリオの必要性を訴える。同社でサステナブル投資グローバル・チェアを務めるヘルガ・バーデン氏(写真㊨)と、サステナブル投資のアジア太平洋責任者を担うリベッカ・マザー氏(写真㊧)に、脱炭素や生物多様性などに関する同社の戦略などについて聞いた。
――COP28では国際金融や投資の面で、どのような議論を期待しますか。
COP28では先進国からグローバル・サウスへの資金提供を促す国際金融システムの構築を期待します。新興国も地球温暖化に適応できるよう、先進国の大規模な民間資本も動員した革新的な気候ファイナンスの拡充が求められています。COP28の「ファイナンス・デー」では、世界銀行をはじめとする国際開発金融機関(MDB)やその他の金融機関が野心的なイニシアティブを発表することが期待されます。
国境をまたがる気候ファイナンスは各国の支出でまかなわれると思われがちですが、資金をどこに、どのような形で振り向けるかについては、国際機関や各国政府だけではなく民間の投資家の影響力が大きく働きます。にもかかわらず、巨額のグローバル資産を運用する投資家や運用マネジャーでさえ、気候変動の緩和や適応に貢献する投資ポートフォリオを組んでいるとはいいがたい状態です。化石燃料ベースの経済からグリーンな経済への移行を支える資産をポートフォリオに含める必要があります。