――商品提供以外のサポートは?
現在、営業部、運用部やマーケティング部と戦略を練っています。基本的には、長期・分散・つみたて投資の効用について、分かりやすく伝えることを支援していきたいと考えています。たとえば、対面販売では、「ゴール・ベース・アプローチ」が広がりつつあると感じています。対面窓口で、投資経験のないお客様や運用ニーズに対して自覚していないお客様に接して、投資に対する関心を高めてもらうには、「将来の何かを実現するため、どんな資金づくりの方法があるのか?」というアプローチが必要と考えています。いきなり投資商品を示して「このファンドを買いませんか?」というようなプロダクト・プッシュ型の営業から、今後はより丁寧なアドバイスが重視される時代へと変わっていくと思います。お客様一人ひとりの人生設計や価値観等を良く聞き取って、それぞれのお客様にふさわしいマネープランを立案していくということが重要だと思います。
米国のフィデリティ・インベスメンツは、確定拠出年金(DC)市場でフィナンシャル・アドバイザーとしての確固たる地位を確立してきましたが、そこでは、「ゴール・ベース・アプローチ」を軸にした、様々な投資啓発コンテンツやツールを開発し、積極的に年金加入者の方々に働きかけて投資することの意義を伝えています。こうした知見は彼らからも学ぶところが多く、日本でのDCビジネスの発展に役立つと思っています。そして、新NISAでも応用可能なことだと思っています。日本のフィデリティ投信ではSNSなども使ってコストをかけずに投資啓もうをする工夫もチャレンジを重ねてきています。そうした取り組みを通じて、幅広い個人の方々の投資への理解に貢献したいと思います。
米国では企業型DCで基本的な投資教育を行って、それを個々人の投資の充実に結び付けていくことが重要視されています。日本では、職域での投資啓もうの普及も当面の課題というところですが、個人投資家への投資啓蒙は、私たちが地域に密着した地域金融機関の皆様と一緒に取り組めることの1つだと感じています。
現在の金融市場は、米国での地銀の破たんに見られるような金融システム不安を内包し、終結の見通しが立たないウクライナ戦争、そして、世界的なインフレの進行など、不透明な要素が多く、難しい市場になっています。この状況はしばらく続くのではないかと考えられます。そのような不安定な市場では、その時々の状況を運用のプロが見極めて、最適な投資対象に選別投資するアクティブファンドの価値が発揮される局面といえます。私どもの強みが活きる商品を提供し、販売会社の皆様と一緒にお客様に成功体験を届けることで、新NISAの成長に貢献していきたいと思います。