――そのような中で、フィデリティ投信の新NISAへ向けた取り組みは?
アクティブファンドの運用会社としてプロとしての運用力を十二分に感じていただける商品を提供する考えです。世界株式や先進国株式、国内株式、外債、リート、マルチアセットなど、幅広く商品を取り揃える計画を立てています。既存ファンドについては、新NISAへの適用基準をにらみながら、信託期間やデリバティブの使用要件など、改定が必要なものは対応する予定です。
新商品としては、ひとつには、インカム収入というニーズに応えられる商品を検討しています。新NISAの対象商品から毎月分配型の商品は排除されましたが、多様な目的に対応することができる新NISAの枠組みでは、安定的なインカム収益を得たいというニーズを持ったお客様も少なくないと考えています。また、デリバティブの利用制限によって、債券のアクティブファンドで制度に適応していないファンドがありますので、それに代わるシンプルな債券ファンドも企画しています。そして、マルチアセットで安定的な運用ニーズに応えられる商品も検討しています。
――パッシブファンドは投入しないのですか?
現在、つみたてNISAの投資対象ファンドとして「フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド」を提供しています。「ターゲット・デート・ファンド」は、主に確定拠出年金の運用商品として活用されている商品ですが、運用期間を長くとれる間はリスク商品を多く組み入れ、投資目標の期日に合わせてリスク水準を落としていくという運用の仕組みは、年金を作る目的以外にも、様々な活用ができると思います。新NISAの「つみたて投資枠」で「フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド」をご活用くださいとアピールしていきたいと考えています。
「フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド」であれば、投資初心者の方にもおすすめできます。投資期間は長くとれるほどに、ターゲット・デート・ファンドの特性が活きて期待リターンも高まるのですが、投資をしたことが無くて、「何を買ったらいいのかわからない」という方にも、資産分散、そして、時間分散の効果がある「ターゲット・デート・ファンド」のつみたて投資をとりあえず始めるという使い方ができると思います。「ターゲット・デート・ファンド」でリスク商品への投資経験を積んだ後で、あるいは、「ターゲット・デート・ファンド」をベースになる資産としてつみたてながら、株式ファンドや債券ファンドなど、リスク・リターンの異なる商品を検討するようにしても良いと思います。
単純に「S&P500」に連動するインデックスファンドなどを提供する計画はありませんが、「フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド」のような付加価値のあるパッシブファンドは検討していきたいと思っています。